Page 2 / 2 1ページ目から読む

少しくらい恋のことなんか考えて、ドキドキしてなきゃやってられない

――今回の新型コロナウイルスの騒動を受けて、これまでのようなライブ活動ができなくなったとお聞きしました。

「はい。上記の様なライブを中心とした活動ができなくなってしまったので、代わりに〈Lovers From Home〉と言う宅録企画を始めました。だいたい2週間に1曲くらいのペースで新曲・既存曲織り交ぜてSoundCloudにアップしています」

――第1弾の“春に抱かれて”は連載〈Mikikiの歌謡日!〉でも取り上げさせていただきました。

「“春に抱かれて”は、サポート・ギターの酒井さんのパートが、良い意味で異物感があり曲に深みが出たと感じています。ギター以外にも小物のパーカッションも録音してくれていて、じぶん一人でなく、誰かと音楽をやる楽しみを改めて感じました。

彼はMAGARI BOOKSという移動式の本屋をやっていて、文化的なものに見識が広いので、そこが活きた様な気がします。ちなみに、奈良は生駒の宝山寺にある、家賃3万ほどのあばら屋をおしゃれにして住んでいるのですが、家そのものが傾いているので、とても心配です」

――(笑)。そして〈Lovers From Home〉は第2弾の“忘れるでしょう”、第3弾の“誰も知らない”と続きます。ラヴァーズ・ロックではあるけれど、また違った顔つきの楽曲で。

「ここでは、ギターの小西誠がミックスや打ち込みで大活躍してくれていて、特にタイコはこんなに生っぽくなるんだな!とびっくりしました。ちなみに彼は、もともと大阪の茨木でスクリーモのバンドをしていたのですが、当時流行っていたギター回しをレスポールでして、見事ドラムにギターを突っ込ませ、もちろんギターは壊れ、そのままアメリカに行きました。そこで、ブルース・ギターと打ち込みに熱心に取り組んでいたみたいです。学校にはあまり行っていなかったみたいですが」

――ちょくちょくメンバーに関する小ネタが挟まる(笑)。楽曲のクォリティーは高いように感じたんですが、宅録でどうやって作るんですか?

「メンバーで一緒に音を出して作るわけではなく、ベーシック・トラックが完成すると、それをそれぞれのメンバーに振って、割と自由に音をつけてもらっています。その中で、バンドで音を出したことのない新しい曲に対するアプローチにそれぞれの個性が発揮できている感じがして嬉しいです。一緒に音を出す時とは違い、全体を俯瞰しながら、組み立てていく感じがあるからかもしれません」

――なるほど。今回のコロナ禍と、楽曲ごとのメッセージは何か関係がありますか?

「特に今の環境下における、メッセージを込めた曲はありません。が、最初にアップした2曲の選曲(“春に抱かれて”は4月末、“忘れるでしょう”は5月の中頃)については、クサクサするなぁという日々だったので、少し背中が押される様な歌詞のものを選びました。……とは言え、Twitterで発信する際に少し言葉を添えました。

1曲目の“春に抱かれて”の時は〈みんなの気持ち一つで、春は来ます!〉。この時、関西は緊急事態宣言が出て2週目くらいだった様な気がします。コロナ自体も得体がしれないもので、気味悪かったですが、それよりも嫌な行いや発言をする人(一般人、有名人問わず)に結構当てられました。そんな状況だったので、上記の言葉を添えた気がします」

――それはよくわかります。すごく息苦しかったので。

「2曲目の“忘れるでしょう”の時は〈私たちの生活、色々あるけど歩いて行かなきゃいけないです〉。改めて見ましたが、まあそのままですね(笑)。ただ、しんどい中でも状況は捉えよう、ということを言いたかった様な気がします。それは歌詞的にも……というか、書きながら無理やり歌詞と社会の状況を繋げようとしている気もしてきました……。いや、やっぱり、ただの気分で書いたのかも……。

とは言え、今は3.11の時と少し似てると感じているのですが、いったい何が本当のことか全然わからない状況ですよね。なので、少しくらい恋のことなんか考えて、ドキドキしてなきゃやってられないですよ」

――こんな時世だからこそ、ドキドキしようと。バンドの今後の目標はありますか?

「冒頭にも書きましたが、〈お茶の間〉で流れたい、ということですね。なんだかんだ言って、たくさんの人に聴いてもらいたいです。それも、特に〈音楽が好きだ!〉というわけでもない方にも聴いてもらえると、嬉しいです」

――音楽が特段好きでない方にも届けたい。

「はい。“チークタイム”のPVの監督もしてくれた友人の松浦真一という映画監督がよく〈少数派による多数派に向けた表現〉ということを言うのですが、そういう表現ができると良いなと思っています。

あとは7月16日(木)にひとまず新しいミニ・アルバム『恋はうたかた』がストリーミングで解禁されますし、8月8日(土)には東洋化成が主催の〈CITY POP on VINYL 2020〉という企画で、大阪・中津のHawaii Recordというレコ屋さんのレーベル〈Hawaii Label〉からファースト・シングルの7インチがリリースされます。ニュー・アルバムもたくさん聴いて欲しいし、アナログに関しては色んな場所でセレクターにプレイしてもらいたいです。目標というよりは、〈たくさん聴いて欲しい〉という願望ばかりですが、そのために色々と考えながら、楽しくやっていきたいです」

ミニ・アルバム『恋はうたかた』トレイラー
 
ミニ・アルバム『恋はうたかた』ジャケット
 

 


LIVE INFORMATION
Bagus!『恋はうたかた』リリースライブ
2020年7月19日(日)京都府・西院ネガポジ
開場/開演:18:30/19:00
出演:Bagus!、CuBerry
料金(前売り):2000円+ドリンク代
※配信、人数制限等は追って告知いたします