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2. Porridge Radio “7 Seconds”

田中「ポッリジ・レディオの“7 Seconds”が2位。ポッリジ・レディオは英ブライトン出身の4人組ですね。荒々しいギター・サウンドと不穏さ漂う歌声によるグランジ―なサウンドが特徴。3月にリリースされたセカンド・アルバム『Every Bad』が世界的にも高く評価され、同作は今年のマーキュリー・プライスにもノミネートされています。僕としては、天野くん一押しのバンドという印象が強いです」

天野「そうですね。音楽性がクールですし、ショート・カットのフロントウーマン、ダナ・マーゴリン(Dana Margolin)のカリスマ性にも痺れます。自分にとっては、フォンテインズD.C.なんかと並んで、ロックに興奮する気持ちを思い出させてくれたバンド。さて、そんな彼女たちの待望の新曲ですが、まずプロデュースがマルタ・サローニ(Marta Salogni)だっていうことに驚きました。プロデューサー/エンジニアとしてビョークやM.I.A.、フランク・オーシャンなど、名立たるアーティストの作品に関わってきたイタリアの才人ですね」

田中「最近では、ロンドン在住の日本人ミュージシャン、Grimm Grimmの新作『Ginormous』の共同プロデュースも務めていましたね。彼女の貢献が大きいのか、以前と比較すると、“7 Seconds”ではプロダクション面に変化が感じられます。ダンス・ビート……とまではいきませんが、ドラムが4つ打ちで、ファニーなシンセサイザーのフレーズも印象的。ざっくり言うと、かなり〈ポップ〉になりましたよね」

天野「僕は彼女たちの刺々しいサウンドが好きだったんですけどね……。とはいえ、バンドにとっては新展開の一曲。プレス・リリースによれば、当初はスロウで長尺の楽曲だったらしいです。マーゴリンが〈悲しげで惨めな感じをもう少し軽減したいんだよね〉とドラマーのサム・ヤードリー(Sam Yardley)に相談したところ、彼がキーボードのリフを加えたことで、ムードがガラッと変わったんだとか。この路線をさらに深めていくかはわかりませんが、今後が楽しみです」