1. Lauv & Conan Gray “Fake”
Song Of The Week

天野「〈SOTW〉はラウヴとコナン・グレイが初めてコラボレーションした“Fake”! これはフレッシュな組み合わせですね!」

田中「ラウヴは、自身のヒット・ソング“The Other”(2015年)や、チャーリー・XCX“Boys”(2017年)の作者として知られる米サンフランシスコ出身のシンガー・ソングライター。彼のキャリアについては、ライターの新谷洋子さんに書いていただいたコラムで詳しく紹介されています。今年3月にリリースしたデビュー・アルバム『~how i'm feeling~』も評判でした」

天野「ポップなヴィジュアルも含めて、新時代のスターって感じがしますよね。一方のコナン・グレイは、ラウヴと同様に今年3月にデビュー・アルバム『Kid Krow』を発表したSSW。『Kid Krow』は、“Maniac”や“Heather”などのヒット・シングルを収めた力作でした。テキサス州ジョージタウンという米南部で育ち、Vloggerとしてカヴァーやオリジナル・ソングを発表していたというグレイは、なんともイマドキのアーティスト。94年生まれのラウヴに対して、彼は98年生まれのまだ21歳です。いわゆる〈Z世代〉の表現者として注目されています」

田中「そんな2人によるこの“Fake”は、プレス・リリースによれば、SNSだけで見せる完ぺきで楽しげな様子はすべて〈フェイク〉だと訴える、現代的なメッセージを含んだ作品、だそうです。〈されるがまま〉みたいな感じで、派手なポップスターが気だるげに仕事をする様子を映したミュージック・ビデオも、なかなかおもしろいですね」

天野「InstagramやFacebookなどで自分自身のキャラクターを作ってしまう、演出してしまう、というのは現代的なアイデンティティーの問題ですよね。グレイは“Fake”について『ラウヴと僕が明らかに二面性を持つような人たちについていろいろと話していたときに書いた曲なんだ。あることを発言して、ちがった行動を取ったり、自分の友達の悪口を言うような人とかについてね』と語っています。そうじゃなくて、〈常に自身らしくあろう〉というのは、まさに現代の音楽家たちが歌っていること。〈君も君の友だちも、表面だけの世界を生きているんだ〉〈君はファッキン・フェイクだよ〉とネガティヴな言葉が歌われていますが、反転するとポジティヴなメッセージが潜んでいるわけです」