Mikiki編集部員とTOWER DOORS担当・小峯崇嗣が最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。今回は第83回です。紹介した楽曲はSpotifyのプレイリストにもまとめているので、併せてお楽しみください。 *Mikiki編集部
【鈴木英之介】
美的計画 “だからラブ feat.相沢&映秀。”
川谷絵音の作る曲を色んなボーカリストに歌ってもらうプロジェクト、美的計画の新曲。今回はゲストとして、相沢と映秀。という、二人の〈歌い手〉を迎えている。ジャジー・ヒップホップを基調とした耳に心地良いトラックだが、ウッドベースの硬い響きをアクセントとして効かせ、ただ心地良いだけでは終わらせないところがいかにも川谷らしい。恥ずかしながら〈歌い手〉の世界にはまるで疎い私だが、これからその新たな世界へ入っていくための手引きとなりそうな一曲だと感じた。
ASOBOiSM “ROOM205 (feat. 森心言)”
ASOBOiSMのニュー・アルバム『OOTD』からの一曲。アンビエントR&Bマナーの、メロウで浮遊感あふれるトラックとアンニュイなラップ/ヴォーカルがたまらない。また途中で入ってくる森心言の〈憎めない男〉を体現するようなラップが、ASOBOiSMによるそれまでの気だるい歌唱とコントラストをなし、絶妙なフックを生んでいる。他の収録曲もそれぞれにカラーが立っていてとても良いので、ぜひ一聴を。
SPORTS MEN “旅行の前日”
空気公団の山崎ゆかりやLampの染谷大陽も賛辞を贈る〈静かなロック・バンド〉によるファースト・アルバム。その冒頭を飾るナンバーがこれだ。カントリーを基調とした人肌の温もりを感じさせる演奏、そしてその端々から顔を覗かせるロックのフィーリングからは、はっぴいえんど“暗闇坂むささび変化”などの名曲が想起される(余談だが細野晴臣のおなじみの人気曲の名前は、何を隠そう“SPORTS MAN”だ)。YouTubeにアルバムのトレイラーが上がっているので、そちらもぜひチェックしてほしい。
【小峯崇嗣】
kyazm “guitar boy”
東京を拠点にマルチに活動するkyazmの最新楽曲をご紹介。スピード感のあるビートと、走り抜けていくような爽快感のあるギター・サウンドが混ざり合い、クールな歌声でキャッチ―なメロディーが耳に残るオルタナティヴなポップソングに仕上がっています。
彼には、TOWER DOORSからのメール・インタビュー〈6つの質問〉に回答してもらっています。ぜひ併せて一読を!
gato “miss u”
都内で活動する5人組エレクトロ・バンド、gatoがとうとうファースト・アルバム『BAECUL』をリリース! そこから“miss u”のMVが公開されています。TOWER DOORSの〈6つの質問〉に出演してもらってから約1年が経過し、よりエッジの効いた唯一無二の音像を奏でるgatoへ進化を遂げました。ぜひ聴き逃しなく!
chillbill. “iiwake”
SSWのちる井とトラックメイカーのorocodatによるデュオ、chillbill.が新曲“iiwake”をリリースしました。薄っすらと仄めくような木漏れ日が彩り、郷愁の匂いが薫るメロディー。そしてアコギとローファイ・ビートの交じり合いによって生まれる優しさと温もりが加わり、そこに儚く優美な歌声によって芽吹く秋に似合うのチル・ポップ・ソングと仕上がっております。
J'Da Skit & Leo Iwamura “After the rain”
東京を拠点に活動するラッパーJ'Da Skit(ジェイダスキット)とビートメイカーLeo Iwamuraによるユニットのセカンド・アルバム『MANTRA』より、“After the rain”をご紹介。雨が滴り水面に波形が出来上がるようなトロピカルなトラックに、静かに忍び寄るようなドープなフロウで心に沁みるリリックが展開される一曲です。
TOWER RECORDS ONLINEでもアルバム『MANTRA』が販売されておりますので、気になった方はぜひ!
【田中亮太】
THE GUAYS “sings!”
GEZANとともに〈十三月〉を支えるTHE GUAYS。盟友たちの飛躍を横目に、悩みや逡巡を抱えてきたであろう4人だが、その心は腐敗も闇落ちもしなかった。彼らは今日もまっすぐな眼差しと晴れやかなれ笑顔でパンクを歌い続けている。『あきらめることをあきらめたんだ』――ニュー・アルバムは10月28日(水)リリース。
Helsinki Lambda Club “Happy Blue Monday”
ヘルシンキ、絶好調です。11月25日(水)にリリースされるセカンド・アルバム『Eleven plus two / Twelve plus one』からリード・ソングを連続配信中。Mikikiでは、フロントマンの橋本薫さんによる各楽曲のセルフライナーを掲載した短期集中連載を展開しております。今回の“Happy Blue Monday”は、その名の通りエレクトロニック・ビートとシンセ・ベースをフィーチャーしたダンス・ソング。中盤のブッリブリな展開がヤバイです。これ、ライヴでは薫くんパッド叩くのかなー、叩いてほしいなー。
in the blue shirt & 川辺 素 “Swim”
京都の有村くん(いまは大阪にお住まいですが)こと青シャツさんと、彼とかねてから親交の深いミツメの川辺さんとの共作曲。上がるわけでもない、落ちるわけでもない、泳ぐ。平熱なポジティヴィティーが、この時代にとても似合っています。こういったエレクトロニック・ミュージックのプロデューサーとインディー・ロックのミュージシャンとのコラボ、もっと増えるといいですね。
【酒井優考】
今週はお休みします
【天野龍太郎】
浦上想起 “とぼけた顔”
とにかく注目されまくっている、としか言いようのない、話題の音楽家・浦上想起。10月23日(金)にリリースされる待望の新作『音楽と密談』から、“とぼけた顔”という楽曲が発表されました。これまでの奇天烈さと毒々しさを残しながらも、とても親しみやすくて心地いいポップソングだと思います。ショーン・オヘイガンが以前マイクロディズニーというバンドをやっていたことは有名ですが、浦上想起の箱庭ファンタジックな音楽こそ〈マイクロディズニー〉と呼びたくなりますね。配信リンクはこちら。
ODOLA feat. 城戸あき子 “Bathtime -Remix- (Music Bar Session)”
最高のアルバム『Grooovin’ Blue』を届けてくれたODOLAによる、Spincoaster Music Barでのセッション映像。もちろん城戸あき子さんの歌もライブだとなお素晴らしいのですが、バンド・セットでの演奏がとにかく最高です。激クール。だけどアツい。
ANARCHY & BADSAIKUSH “DAYDREAM”
先週、紹介しそこねました。ANARCHYと舐達麻のBADSAIKUSH、という最高の組み合わせ。ANARCHYの〈命を削って作り上げる不朽の名作〉という力強いラインに震える。配信リンクはこちら。
毛玉 “優しいあの子(スピッツcover)”
毛玉の黒澤勇人さんが、いつのまにかVloggerになっていました。スピッツのカヴァー、めちゃくちゃいい。黒澤さんが歌うと毛玉の曲になるなあ(そこがいいです)。