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インタビュー

宮本貴奈が語る映像感に満ちた新作『Wonderful World』

ピアノを通して石若駿ら幅広いゲストと交わした深遠な対話

世界から賞賛を浴びるピアニストが、ジャンルを超えてコラボした映像的作品集

 人が思い描く物語とその情景の移り変わりに、静かに呼応しながらサウンドは彩りを塗り替えていく。大変な時代を生きながら、その最後「それでも素晴らしい日々だったよね」と子守唄のように眠りにつかせてくれる……。そんな今の世を映しながらも人を導くような、パーソナルな映像感に満ちた仕上がりだった。

宮本貴奈 『Wonderful World』 JUMP WORLD(2020)

 ボストンの音大を卒業するとニューヨークへ進出。すぐにグラミー常連ジャズ歌手の専属ピアニストとして雇われ、世界中をツアーして回った。その最中に移り住んだアトランタでは数々の賞を獲り、その名を世界中へ轟かせた宮本貴奈(p, vo)。20年ぶりに帰国するとジャズをはじめ、様々なジャンルのアーティストとコラボし、演奏/作編曲/音楽監督/プロデューサーとして活躍している。そして今年、7年ぶりとなる新作『ワンダフル・ワールド』の制作に取りかかった。

 「中西俊博さん、佐藤竹善さん、中川英二郎さん、小沼ようすけくん、石若駿くん、パット・グリンさん、大儀見元さん、川村竜くん、teaさん。幅広いジャンルのゲストに節操なくみえるけど、出したい音を共有できるこの大切な人たちと衒いのない交感がしたくて……。そこで何が起こるか確かめてみたかったんです。機会が合えばもっと大勢をお呼びしたかったぐらい」

 各分野の親しいアーティストたちと小編成を組み、ピアノ・ソロも含め2曲ずつの深遠な対話を交わしていく。ピアノ演奏の手腕にだけスポットを当てるのでなく、1曲ごと繊細に仕込まれたサウンドで、世界のどこかにある(であろう)風景を脳裏へ去来させ、その美的映像感にも多くが引き込まれることになる。

 「情緒に溢れながら歴史に埋もれたビッグバンド曲の発掘にはじまり、儚げに浮遊するタイム感で編曲したボサノヴァ・ナンバー、大好きだった故ビル・ウィザース氏を追悼した歌曲メドレー、新旧の私的思いを詰め込んで作った即興的情景曲……。こんな時期にこのタイトルって、ちょっと躊躇したんです。でもこういう世界を今こそみなさんが待望し、必要としているのではないかって。ぜひ多くの方にこのアルバムを聴いて、世界中の心が癒される場所へ旅に出てほしい」

 なぜ映像美の創出にこだわるのか、宮本が音楽家を目指すきっかけとなった衝動と、現在にも続くその崇高な思いにヒントは隠されている。が、その解説はまたの機会に譲るとして、そうした胸に抱く心象や音に対する信頼へ、1曲ごと、ジャズの側から親密に、優しく、ひっそりと回答してみたのが本作なのだ。そうして置かれた点は線でつながり、ひとつの長い物語を完成させる。いわばこれが裏テーマ。初の弾き語りやデュエットにも挑戦し、それらにもまた驚かされる。

 


LIVE INFORMATION

スヌーピー オーケストラクリスマスコンサート 「ピーナッツ」70周年記念
○2020年12月24日(木)17:30開場18:30開演
【会場】東京文化会館
【出演】宮本貴奈(音楽監修・p)栗田博文(指揮)城田優(ゲスト・ヴォーカル)ジーン・ジャクソン(ds) パット・グリン(b) 横浜少年少女合唱団東京フィルハーモニー交響楽団
【曲目】Christmas time is here/Just Like Me/Linus And Lucy/他

宮本貴奈『Wonderful World』発売記念スペシャル・ライヴ
○2021年2月4日(木)[1st.show] 17:00開場 18:00開演/ [2nd.show] 19:45開場 20:30開演
【出演】宮本貴奈 (vo,p) ゲスト:Pat Glynn (b)石若駿 (ds)小沼ようすけ (g)中川英二郎 (tb)中西俊博 (vn)他、豪華ゲストを予定
【会場】コットンクラブ
www.takana.net/

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