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インタビュー

小曽根真『OZONE 60』通過点にして再出発点。ファンへの感謝を込めて節目のソロ・ピアノ作を語る

photo by Kazuyoshi Shimomura (AG ENCE HIR ATA)

『OZONE 60』アルバムに込められたファンへの感謝と新たなスタートへの決意

 今年3月25日(木)に60歳を迎える世界的ピアニスト、小曽根真。その節目の年に発表されるソロ・ピアノ・アルバム『OZONE 60』は、クラシックとジャズの両方の魅力を伝える2枚組作品。そのコンセプトのもとになったのは、2020年4月~5月の53日間に小曽根が自宅から行なっていた配信ソロ・ピアノ演奏〈Welcome to Our Living Room〉だという。

小曽根真 『OZONE 60』 ユニバーサル(2021)

 「60歳の時にアルバムを出そうという考えはもともとありました。ですが、その準備をしようという時にコロナ禍になり、第1回目の緊急事態宣言が発令されました。社会がストップし、外出自粛が求められ、すべてのコンサートとライヴが中止や延期。音楽は不要不急の扱いを受けてしまいました。僕は神戸出身。阪神淡路大震災を経験していますが、日常生活のルーティンが失われると、それが大変なストレスになってしまうんです。ですから、その中で皆さんに少しでも日常を取り戻してほしい、ホッとできる時間を過ごしてほしいと思い、家内(女優・神野三鈴)と相談しながら配信ライヴを始めました。音楽は不要不急じゃない。僕たちにとって欠かせないものだ。混乱した状態だけど、9時になるといつも小曽根がピアノを弾いている、という安心感を得てもらいたかったんです」

 最新アルバムの源となった配信ライヴ。さらにその奥にあるのはファンへの感謝だと小曽根は語る。

 「あれはずっと以前からやりたかったことでした。僕は長い間、好きな音楽をやれてきています。しかもいつもその時に自分が一番やりたいと思っている音楽を。でもそれは、ファンの皆さんが居てくださって初めてできること。聴いてくださる方々の信頼と愛情のお陰です。その皆さんに感謝の気持ちを伝えたいという想いを抱き続けていました。あの配信は、コロナ禍で僕を含めたすべてのコンサートが無くなってしまったからこそ実現できたこと。僕のコンサートの前日に無料ライヴを配信したら、関係者の方々に迷惑をかけてしまいますからね(笑)。あの53日間で多くの愛情を感じ取ることができたので、このアルバムで再度、皆さんにありがとうという気持ちを伝えようと思いました」

 そのアルバム『OZONE 60』は、クラシック音楽を中心とした〈CLASSICS + IMPROPTU〉と、ジャズ的なオリジナル曲を中心とした〈SONGS〉の2枚組。スタインウェイとYAMAHAの2台のピアノによる多重録音の演奏や、クラシック音楽の難曲などが並ぶ意欲作だ。

 「『OZONE 60』は節目の60歳での作品ですが、それはゴールではなく、ひとつの通過点、そしてニュー・スタート。これからもっともっと素の自分を皆さんに見てもらおうと思って作ったアルバムです。ですから、プロコフィエフの難曲にも挑んでいますし、長年の僕のコンサートでの人気曲である“ガッタ・ビー・ハッピー”を初収録したりもしています。ですが、僕の新たな旅立ちという意味で言えば、それが最も顕著に表れているのは、“ディパーチャー”“誰かのために”“耳を澄ませて…”のような曲かもしれません。僕はこれまで、皆さんに楽しんでいただきたいという気持ちで、暗い曲想の中でも明るいものや楽しい要素を織り込んできました。もちろん、そういうことをすべて止めてしまうわけではありませんが、これらの3曲は、そのような解決を持たない楽曲。そういう曲を書いてみたいと思ったんです。それはある意味で冒険ですが、リスナーの皆さんの感性をリスペクトして、敢えてそのまま投げかけてみようと。

3月25日のサントリーホールから始まる僕の全国ツアーでもそのようにやっていきたいと思っています。コンサート・ホールは、知らない者同士が集ってひとつの音楽を聴き、感動を共有するミラクルな場所です。そんな奇跡のような出会いの中で、皆さんといろいろな感情を分かち合い、その気持ちを自宅まで持って帰っていただけるようなコンサートにしたいと思っています。お近くで開催される時には是非、足をお運びください」

 


小曽根真 (おぞね・まこと)
ジャズピアニスト/作曲家。83年バークリー音大ジャズ作・編曲科を首席で卒業。同年米CBSと日本人初のレコード専属契約を結び、アルバム「OZONE」で全世界デビュー。以来、ソロ・ライブをはじめゲイリー・バートン、ブランフォード・マルサリス、パキート・デリベラなど世界的なトッププレイヤーとの共演や、自身のビッグ・バンド「No Name Horses」を率いてのツアーなど、ジャズの最前線で活躍。2018年3月、ユニバーサル・ミュージックよりニューヨーク・フィルと共演した初のクラシックアルバム「ビヨンド・ボーダーズ」をリリース。映画や舞台音楽など、作曲にも意欲的に取り組み、多彩な才能でジャンルを超え、幅広く活躍を続けている。2020年春には、コロナ禍の緊急事態宣言中、53日間に及ぶ自宅からの配信活動‘Welcome to Our Living Room’も話題となった。2021年3月には還暦を迎え、全国各地でOZONE60プロジェクトを展開する。

 


LIVE INFORMATION

小曽根真60 th Birthday Solo
OZONE60
Classic × Jazz

〇3月25日(木)19:00開演
会場:東京・サントリーホール大ホール
www.hirasaoffice06.com

〇3月27日(土)14:00開演
会場:名古屋・愛知県芸術劇場コンサートホール
cte.jp/wp_detail/210327/

〇3月28日(日)15:00開演
会場:秋田・アトリオン音楽ホール
www.kosei-buil.co.jp/atorion/ongaku.html

〇4月3日(土)14:00開演
会場:大阪・ザ・シンフォニーホール
www.hirasaoffice06.com

〇5月1日(土)17:00開演
会場:茨城・水戸芸術館コンサートホールATM
www.arttowermito.or.jp/hall/lineup/article_4254.html

〇5/22(土)15:00開演
会場:福岡・福岡シンフォニーホール
https://yolanda-office.com/concert/20210522.html

〇5/25(火)19:00開演
会場:盛岡・キャラホール・都南公民館
www.mfca.jp/kyarahall/

〇6/6(日)15:00開演
会場:川口・川口総合文化センター・リリア音楽ホール
www.lilia.or.jp/

〇7/17(土)17:00開演
会場:大津・滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 大ホール
www.biwako-hall.or.jp/

〇7/31(土)17:00開演
会場:いわき・いわき芸術文化交流館アリオス 大ホール
www.hirasaoffice06.com

他、順次発表予定

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