コラム

『R+R=Now Live』ロバート・グラスパーらが己のリアルを追求した奇跡のライブ盤

©TODD COOPER

ロバート・グラスパーらが己のリアルを追求した、結成そのものが奇跡のような6人組プロジェクトからライヴ盤が到着。これはさらなる動きへの大きな前ぶれなのか?

 昨年8月にH.E.R.とミシェル・ンデゲオチェロを迎えて“Better Than I Imagined”を発表したロバート・グラスパー。BLMのムーヴメントとも明確にリンクしつつ、来るべき『Black Radio 3』へ繋がる一曲として絶賛を集めた同曲は、ここ最近のグラスパーのモードのひとつを如実に示すものでもあるのだろう。そうでなくても2020年はコモンやビラル、レディシといった大物アーティストたちとの手合わせが続き、サントラ『The Photograph』やディナー・パーティーでのアルバムがあり、さらに前年へ遡れば自身のロマ・ヴィスタ移籍作『Fuck Yo Feelings』なんかもあったわけで、オーセンティックな演奏家/プロデューサーとして彼の名前がメインストリームにも定着してきているのは明らかだ。ゆえに、ここにきてR+R=NOWの〈続き〉が聴けるとは思っていなかった人も多いのではないか?

 〈時代を反映させることはアーティストの責務である〉というニーナ・シモンの有名な言葉にインスパイアされて名付けられたR+R=NOW(Reflect+Respond=NOW)とは、ロバート・グラスパー(キーボード)を中心に、テラス・マーティン(サックス/ヴォコーダー/キーボード)、クリスチャン・スコット(トランペット)、デリック・ホッジ(ベース)、テイラー・マクファーリン(キーボード/エレクトロニクス)、ジャスティン・タイソン(ドラムス)から成る6人組バンド。言うまでもなくデリック・ホッジとジャスティン・タイソンはグラスパーのエクスペリメントでも活動し、その後のテラス・マーティンはディナー・パーティーにも名を連ねるなど、相互が有機的な繋がりを備えた先鋭的な凄腕集団だ。2018年6月に登場した彼らのファースト・アルバム『Collagically Speaking』は、当時のグラスパーが「それぞれのサウンドは違うが、俺たちはみんな同じコンクリート・ガーデンからやってきた。とても誠実で流動的なサウンドになる。ヒップホップ、EDM、ジャズ、時にはレゲエも聞こえるような。お互いをとてもリスペクトしているから、俺たちは常に相手にパスを出すことができるんだ」とコンセプトを説明していた通り、他のプロジェクトよりもダイナミックでアグレッシヴな面を備えつつ本来の意味でのフュージョンが果たされた、当時の彼らの万能感を窺わせる内容であった。

R+R=NOW 『R+R=Now Live』 Blue Note/ユニバーサル(2021)

 このたび登場した『R+R=Now Live』は2018年にNYのブルーノートで収録されたライヴ盤。つまり厳密には〈続き〉ではないものの、その後はいよいよ多角的な活動を展開することになった6名が顔を揃え、エキサイティングな音の交歓を繰り広げた貴重な記録となっている。72分かけて収録された7曲のうち5曲が『Collagically Speaking』の収録曲ながら、才気がスパークするスリリングな臨場感とダイナミックな演奏の無条件なカッコ良さは、スタジオ音源とはまったく異なるライヴならではの出来だ。なかでもラストに待ち受ける“Resting Warrior”の25分超のパフォーマンスは最大の山場である。今後のグラスパーの動きも注視しつつ、まずは圧巻の勇姿を耳で楽しんでいただきたい。

左から、R+R=NOWの2018年作『Collagically Speaking』(Blue Note)、ロバート・グラスパーの2019年作『Fuck Yo Feelings』(Loma Vista)、ロバート・グラスパーによる2020年のサントラ『The Photograph』(Back Lot)、ディナー・パーティーの2020年作『Dinner Party』(Sounds Of Crenshaw)、テイラー・マクファーリンの2019年作『Love's Last Chance』(From Here/インパートメント)、デリック・ホッジの2020年作『Color Of Noize』(Blue Note)、クリスチャン・スコットの2020年作『Axiom』(Ropeadope)