私たちの日常の風景をすっかり変えてしまった、コロナ禍。それはまた、私たちの音楽の聴き方にも少なからず影響を及ぼしたと思います。以前好きだった音楽を受け付けなくなったり、あるいはそれまでスルーしていたような音楽に突如として心を奪われたり……。
そこでMikikiでは、ミュージシャンやレーベル関係者、レコード・ショップ関係者、ライブハウス関係者など音楽に関わって仕事をする人々に〈コロナ禍以降、愛聴している1曲〉を訊ねる新連載をスタート。その回答は一人ひとりのいまの心情を映し出すと同時に、災いに見舞われた人々に対して音楽がどのような意味を持つのか、そのヒントにもなるのではないでしょうか。 *Mikiki編集部
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Kroi
R&B/ファンク/ソウル/ロック/ヒップホップなど、あらゆる音楽ジャンルからの影響を昇華したミクスチャーな音楽性を提示する5人組バンド。2018年10月にシングル“Suck a Lemmon”にてデビュー。翌2019年には、〈SUMMER SONIC 2019〉への出演やJ-WAVE〈SONAR TRAX〉への選出などで注目を集める。2021年1月、初となる全国流通EP『STRUCTURE DECK』をリリースした。
コロナ禍以降、特に愛聴している1曲は何ですか?
内田怜央(ヴォーカル)が選ぶ1曲
Gene Harris & His Three Sounds “Book Of Slim”(68年作『Elegant Soul』収録)
コロナ期間中に音楽制作を頑張る、みたいな気になったので、新しいサウンドを探していて、そんな中でキハーダという楽器が気になったんです。でも高かったので代わりにビブラスラップっていう楽器を買いまして。そこでビブラスラップを使ったカッコいい曲はないかなと思って、出会ったのがこの曲でした。新しい旅の途中で見つけた、めちゃくちゃカッコいい曲ですね。
関将典(ベース)が選ぶ1曲
Pantera “I’m Broken”(94年作『Far Beyond Driven』収録)
俺のアラーム音なんで毎日聴いてます(笑)。コロナ前はサラリーマンをしてたんで、もっと普通の曲で起きてたんですけど、バンドマンになったらもっとこういう曲で起きなきゃなと。アラームに設定した曲って、いい曲でも何度も聴いてると嫌いになっちゃうじゃないですか。でもメタルだと、もう好き嫌いとかそういう次元じゃなくなってくるんですよね。とにかく爆音で起きる!
長谷部悠生(ギター)が選ぶ1曲
Official髭男dism “ノーダウト”(2018年作『エスカパレード』収録)
それまでは日本の音楽ってそんなに聴いてなかったんですけど、ポニーキャニオンからのデビューが決まったので、大先輩の曲をずっと聴いていました。この曲はヒゲダンを知った曲でもあるし、ラジオでずっと流れていたし、いま一番先頭を走ってる人たちじゃないですか。今マネージャーとメンバーの千葉とシェアハウスしてるんですけど、その引っ越しの時も街中でずっと流れていたんですよ、ヒゲダンが。 僕たちの曲も街中で流れるようになって〈長谷部さんですか?〉って言われるようになりたいです。
益田英知(ドラムス)が選ぶ1曲
RC & The Gritz “Leave Me Alone (Feat. Erykah Badu)”(2013年作『Pay Your Tab』収録)
コロナと直接は関係ないんですけど、すごく心地いいんです。AパートとBパートを行き来する曲で、Aはすごくフワーっとしてて低音があって心地いいんだけど、Bで締まる。それが一生聴いてられるなと思って。
千葉大樹(キーボード)が選ぶ1曲
Plus-Tech Squeeze Box “Dough-Nuts Town’s Map”(2004年作『Cartooom!』収録)
いわゆるネオ渋谷系ですね。僕はもともと中田ヤスタカを聴いて育ったんですが、この時代の派手すぎない音とか、これくらいのテンション感の曲を聴きながら作業するのが好きなんですよね。最近は技術が進歩しすぎてよく分からなくなってきたっていうのもあります。コロナ禍で家にいる期間が多かったので、このアルバムだったり初期のCAPSULEだったりを原点回帰の意味も込めてよく聴いていました。
RELEASE INFORMATION
TRACKLIST
1. Page
2. dart
3. Finch
4. risk
5. marmalade
6. HORN