“Blurred Lines”(2013年)の異常ブレイクや以降のゴシップで認識が止まっている人もいるだろうが、ここ数年の彼は天国と地獄の後に訪れた新たな楽園でマイペースに活動中。父のアラン・シックと後見人アンドレ・ハレルに捧げた約7年ぶりのアルバムはそのハレル最後の仕事のようで、そうでなくてもシルキーな2000年代の躍進期を想起させる素晴らしい名品だ。相棒プロ・ジェイとの変わらぬコンビで全編を手掛け、オーガニックな“Lucky Star”での幕開けから絶好調。情熱的なサルサ“Lola Mia”や哀愁の“Look Easy”などラテン色も交えつつ、リラクシンな“Forever Mine”や切実な“That's What Love Can Do”などの伝統的なスウィートネスが染み渡る。ファレル作のディスコ“Take Me Higher”はまた心配だが。