独自性と先鋭性を誇った一昔前の影は薄くなっているものの、ヒット請負人としての存在感は増すばかりのファレル。この8年ぶりのソロ2作目では、そんな自身が生んできた楽曲のスタイルをセルフ・リメイクしつつ、現行シーンに通底するブギーやソウルのムード(それは自身が関わったダフト・パンクやロビン・シックのヒットが生んだものでもあるが)を巧みに塗した印象だ。そのムードの一端を担ったジャスティン・ティンバーレイクを迎えてのMJオマージュからマイリー・サイラスとの殿下調ファンクまで、〈ガール〉にまつわる曲ばかりの、〈ハッピー〉な部分を真ん中に据えた、迷いのない楽しさに満ちた内容は、孤高の天才からポップ職人へと変化してきたファレルのひとつの集大成とも言えるものだろう。