3部作の第1弾として予定された『Big Colors』が数々の禍事のせいで棚上げになり、代わりに登場したのが本作。過剰なまでの感傷ムードが立ち込める冒頭の“I'm Sorry And I Love You”からして沈痛極まりない思いが零れ落ちそうだけど、奈落の底を覗き込むようにして紡いだ歌声には抗い難い魅力があり、動揺しつつものめり込まずにいられない。闘病の末に亡くなった兄クリスへ捧げた“When You Cross Over”で静かに脈打つ痛みが特にくる。
ライアン・アダムス(Ryan Adams)『Wednesdays』奈落の底を覗き込むようにして紡ぐ、抗い難く魅力的な歌声
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