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Burna Boy “Kilometre”

天野「バーナ・ボーイ、待望の新曲“Kilometre”です! これはアガりますね!!」

田中「ナイジェリアのアフロビーツを代表するアーティストであるバーナ・ボーイの前作『Twice As Tall』(2020年)は、第63回グラミー賞で最優秀グローバル・ミュージック・アルバム賞を獲得しました。いまや、押しも押されもせぬ世界的なスターですよね」

天野「まさに! この“Kilometre”は、これまでにバーナの曲を何度か手がけているナイジェリアのプロデューサー、チョップスティックス(Chopstix)が制作。かなりレゲエ/ダンスホール色が濃厚で、ヘヴィーだけど踊れますね。バーナのフロウもレゲエ風ですし、〈キロミ・キロミ・キロミーターズ〉というサビのフレーズは中毒性抜群。かっこいいな~」

田中「バーナ・ボーイは昨年、〈今年は新作をリリースする予定〉と発言していますから、次のアルバムも近々届けられそうですね」

 

Half Waif “Swimmer”

天野「新曲をリリースするたびに〈PSN〉の候補に挙がっていたハーフ・ワイフ。ようやく連載に初登場です」

田中「プロフィールを紹介すると、ハーフ・ワイフは、マサチューセッツ出身のナンディ・ローズ・プランケット(Nandi Rose Plunkett)によるシンセ・ポップ/エクスペリメンタル・ポップ・プロジェクト。プランケットは、ウガンダ出身のインド人である母親のもとで育てられたそうです」

天野「パイングローヴ(Pinegrove)のキーボーディストとしても知られていて、夫は同じメンバーであるザック・レヴィン(Zack Levine)。ファースト・アルバム『Kotekan』のリリースは2014年ですから、ソロ・キャリアはけっこう長い。そんななか、昨年アンタイと契約してリリースした『The Caretaker』が注目されました」

田中「電子音を自由自在に扱ったポップ・サウンドと、芯の通った力強い歌声の多重録音が魅力的な音楽家ですよね。ここ日本でも、もっと注目されてほしいです」

天野「この“Swimmer”は7月9日(金)にリリースする新作『Mythopoetics』からのシングルで、プランケットによると〈愛することのパラドックスについての歌〉。踊れるビートではないけれど、ダンス・ミュージックとエクスペリメンタルを見事に組み合わせたプロダクションは高揚感にあふれています。このビートの作り込みはすごい!」

田中「作風はずっと変わっていないのですが、表現がどんどん研ぎ澄まされていっているんですよね。想像力豊かな、とてもクリエイティヴなエレクトロニック・ミュージックのプロデューサーだと思います」

 

PS Hitsquad “Big Steppa”

天野「今週最後の曲はUKドリルの新星、PS・ヒットスクワッドの“Big Steppa”です。これもかっこいい曲ですね。テンポも普通のドリルの曲より早めですし、勢いに満ちています」

田中「PS・ヒットスクワッドは、ペッカムのグループであるゾーン・2(Zone 2)の一員です。先週4月23日には、先輩ギグス(Giggs)をフィーチャーした“Black”をリリースしていて、ノリにノっているMCですね」

天野「アクマ・スタンダーズ(Akuma Standards)のビートもさることながら、スクラッチ・ミクスト・イット(Scratch Mixed It)のミキシングが効いていて、かなりパワフルな曲になっていますね。曲名の〈big steppa〉はラップでよく出てくる言葉ですが、レゲエのパトワ語でよく出てくる〈hot stepper(イケてるやつ)〉に近い意味でしょうか。〈ステッパー、どんな風にステップするか俺が見せてやる〉というラインにシビれますね。とにかく、PSとゾーン・2はいま注目の存在です!」