ナイジェリア出身のシンガー・ソングライターが昨年リリースした5枚目のアルバムは、ストームジーやユッスー・ンドゥール、サウティ・ソル、ノーティ・バイ・ネイチャーといったゲストを迎えた力作に仕上がっている。アフロビート、ヒップホップ、ダンスホールなど伝統と現代が綿密に絡み合ったサウンドは、異なるものと思われていた音がベストマッチだったときの喜びでいっぱいだ。まったりとした横ノリで浸れる曲もあれば、激しく身体を揺らしたくなるアグレッシヴな曲もあり、さまざまなグルーヴを楽しめるのも良い。歌詞も聴きどころが多く、なかでもクリス・マーティン参加の“Monsters You Made”は筆者の心をとらえた。奴隷制や教育に触れながら人種差別の問題を探る言葉は、怒りと痛みで溢れた反骨心を滲ませる。