
もう次を作りたい
――残り2曲です。次が6曲目の“ichijiku”。
内田「これは千葉さんが作った曲ですね。関さんが〈ベースとドラムで始まる曲〉って言ったら、千葉さんが3日後くらいにデモを作ってきてくれて。それを元にみんなで作りました」
――このサンプリングされている声は?
千葉「これは僕のアイデアですね。怜央はバンド出身なんであんまりサンプルを使ったりはしないんですけど、僕はずっとサンプルを使って曲を作ってきた人間なんで、せっかく自分が作るなら怜央がやらないアプローチでやりたいということで入れました」
――“ichijiku”っていうタイトルはどういう意図でつけたんですか?
関「前回(『STRUCTURE DECK』で)“marmalade”っていうジャム(・セッション)の曲を入れたじゃないですか。それでこの曲も同じジャムの曲なので、〈マーマレード・ジャム〉に対して今回は〈イチジク・ジャム〉ということで〈ichijiku〉と付けました」
千葉「次やるならどんなジャムがいいと思いますか?」
――え(笑)……イチゴ?
関「実は〈イチゴ〉も考えてたんですけど、〈イチゴ〉だったらもっと王道っぽい感じのコード進行かなと思ってやめて」
千葉「じゃあ次は〈イチゴ〉やります! 決定!」
――楽しみにしてようっと(笑)。じゃあ最後が1曲目の“Balmy Life”ですね。読み方は〈バルミー・ライフ〉でいいんでしょうか?
内田「これ、いろんなところで〈バルミー〉と言ってたんですけど、正式には〈バーミー〉だったらしくて。でもまあ〈バルミー〉でいいかって(笑)。〈Balmy〉には〈かぐわしい〉とか〈爽やかな〉とか、逆に〈気の触れた〉とか、結構いろんな意味があるんですよ。そのいろんなニュアンスが1つの言葉に共存してるってすごいなって感動しちゃって、それがこの曲の世界観にぴったりだなと」
――華々しい幕開けみたいな感じだし、サウンドもファンキーだし、すごく良い曲で始まったなと思いました。
千葉「どうすか、益田さん的には?」
益田「うん、分かりやすいよね! やっぱり音がノリやすいし、すごくメロディアスで耳触りのいい感じだし」
内田「繰り返しが多いよね。今回はかなりラップをフリーキーなフロウにしたので、そことの兼ね合いもあってバランス感覚をしっかり保つために、サビやそれ以外のメロディーの繰り返しを多めにして。
基本的にリード曲って、作ってる段階でめちゃめちゃ好きになることってあんまりなくて。最終的に世に出てみんなの評価を受けて、〈あ、この曲、いいな〉ってなることは多いんですけど。でも“Balmy Life”に関しては、世に出る前からもうめっちゃ好きっすね」
千葉「あ、そういえばトーク・ボックスを使ってる話をしてないね」
内田「そうだそうだ! 千葉さんに、まったくの未経験だったトーク・ボックスをレコーディングの1週間前くらいに頼んで……」
千葉「いや、練習しだしたのは2日前とか(笑)」
長谷部「家でやっててさ、最初は全然できてなかったよね」
千葉「発音の仕方が普通に歌うのと違うんですよ。特に子音が難しくて、たとえば〈た〉って言うときに〈タッ〉みたいに破裂音を作らないといけなくて、レコーディング中にそういうことに気付きながら録ったんです」
――でもあれがあるから独特のサウンドに仕上がっていて。
千葉「1回引っかかりが生まれるっていうかね」
関「サラっといかない感じがするよね」
千葉「1曲聴いた後にあのフレージングが耳に残るというか、象徴的なものになってるんですよね。それこそザップとかスティーヴィー・ワンダーが使ってたみたいな採り入れ方をしていて」
――全曲のレコーディング秘話を訊いたところで、そろそろ締めにしましょうか。今作が出来てみて、どうですか?
内田「全員満場一致で、もう次を作りたいって感じです」
関「同じですね。とりあえず早くリリースしたくて」
内田「“Balmy Life”録ってる時から言ってたよね。次のレコーディングしたいって」
関「録り終わって数分後には言ってたよ。このアルバムができるまで1か月に1回はスタジオでレコーディングしてたので、今は物足りないんですよね」
――最初に〈これで第一章は終わり、ここからが第二章〉って言ってましたけど、その欲求っていつか満たされるものなんですか?
内田「曲を作ってる間だけはウハウハってなって満たされてるんです。でもこのモチヴェーションが毎回あるわけではないかもしれないから、大切にしたいですね。それに、すぐにでも次のレコーディングはしたいけど、アウトプットばかりの生活だと研究しなくなって進化しないじゃないですか。リリースするものが進化してないと〈あれ? 超えてきてねえな?〉って腹立たしい境地に辿り着きますし、Kroiは〈進化〉に目を向けて活動しているバンドなので、吸収期間を設けて研究して、しっかり吟味した上で新しい要素を入れていくとか、今のバランスの比重をちょっとだけ変えて重心をズラすことで違うものを作っていくとか。これからはそういう視点を増やせるようにしたいなと思ってます」
LIVE INFORMATION
Kroi Major 1st Album Release Tour “凹凸”
2021年7月4日(日)北海道・PLANT
2021年7月10日(土)神奈川・F.A.D YOKOHAMA
2021年7月11日(日)千葉・LOOK
2021年7月16日(金)大阪・BananaHall
2021年7月18日(日)愛知・SPADE BOX
2021年7月30日(金)福岡・DRUM Be-1
2021年8月1日(日)京都・KYOTO MUSE
2021年8月6日(金)東京・渋谷CLUB QUATTRO
2021年8月27日(金)東京・LIQUIDROOM ※追加公演
※ご来場に関する注意事項など最新情報を公式サイトにて必ずご確認ください。公演前に発表する注意事項をご確認の上、ご来場をいただきますよう、お願い申し上げます
※当日は新型コロナウイルス感染拡大防止のガイドラインを遵守し、然るべき安全対策を講じた上で開催されます
詳細はKroiオフィシャルサイトにて