各方面で絶賛を浴びる2021年の最注目バンドがいよいよメジャー・デビュー!
時代と並走する5人の持ち味はセオリーを超えた生々しい魅力を発散する!
〈ミクスチャー〉は当たり前
東京のライヴハウスを中心に活動し、結成2年目で〈SUMMER SONIC 2019〉に出演。〈あらゆるジャンルの色を取り入れて自分たちなりに表現する〉という意味と、〈聴いてきた音楽を代表してブラック・ミュージックという大きなカテゴリーを日本語にした〉という二つの意味から名付けられた5人組バンド、Kroi(クロイ)が、アルバム『LENS』でメジャー・デビューした。
「俺と長谷部(悠生、ギター)が高校卒業前に、社会人1年目の関(将典、ベース)さんと益田(英知、ドラムス)さんのバンドを誘って、2つのバンドが合体してKroiができたんですけど、94年組と99年組がいて。邦楽の話をするとジェネレーション・ギャップを感じるんですけど、過去の洋楽だとジェネレーション関係なくハマった人とは話ができるじゃないですか。なので自然とそういうところが共通項になっていきましたね」(内田怜央、ヴォーカル)。
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンなどのミクスチャー、ラップ・メタルから、スライ&ザ・ファミリー・ストーンなどのファンク・ロック、ハービー・ハンコックなどのジャズ・ファンクまで、Kroiが影響を受けた音楽は非常に多岐に渡るが、その中心にはいつも〈ノレる〉ことが大前提にある。それらをうまく混ぜ込んで、自己流に噛み砕いて吐き出せる。それがKroiのいちばんの強みだ。
「完全なオリジナルの音楽が生まれないいまの世の中で、オリジナリティーを生んでいく作業っていうのは〈混ぜていく行為〉が重要になっていくと思うので。だからやってることとしては〈ミクスチャー〉にあたるんですけど、ミクスチャーってもはや当たり前になってますよね。だからわざわざそれを前面に出して言う必要はないかなって思ってもいます」(内田)。
とはいえ全部の楽曲が洋楽っぽいかと言われればそういうわけでもなく、J-Popらしいかと言われればそんなこともない。もちろんよくありがちな〈洋楽ライクなJ-Pop〉という枠にも落ち着いていない。メインのソングライターである内田はそういった枠組みすらも意識していないという。
「最近は曲の構成について何も考えていなくて、曲の作りをおもしろくしたいと思ったらへんちくりんになったものもあるし、そもそもそれを変だと思わなくなっていることも多いです」(内田)。
「以前はJ-Popの良いところも混ぜていこうって言ってた時期もあるんですけど、今回は曲によってもバラバラですね。あえてJ-Popさをなくそうとしている時もあるし、ガチガチに構成を話し合わないこともあったし」(千葉大樹、キーボード)。