田中亮太「Mikiki編集部の田中と天野が、海外シーンで発表された楽曲から必聴の楽曲を紹介する週刊連載〈Pop Style Now〉。まずはこの一週間の話題からいきましょう。先週後半に届けられたうれしいニュースといえば、シルク・ソニックについて! ブルーノ・マーズとアンダーソン・パークによるスーパーユニットのデビューアルバム『An Evening With Silk Sonic』が、11月12日(金)にリリースされることが発表されました!」
天野龍太郎「たのしみですね。アルバムには、〈特別ゲストホスト〉としてブーツィー・コリンズも参加しているのだとか。最高にシルキーでファンキーなソウルアルバムになっているのではないでしょうか。早く聴きたいな~」
田中「あとは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズが2022年のツアー日程を発表したことも話題でしたね。ジョン・フルシアンテ復帰後のライブということですでに注目度が高いわけですが、各公演のサポートアクトがとにかくすごい!」
天野「エイサップ・ロッキー、サンダーキャット、アンダーソン・パーク&フリー・ナショナルズ、ハイム、ベック、ストロークス、キング・プリンセス、さらにセイント・ヴィンセント……。ヤバすぎ。こんなメンツを〈サポートアクト〉って呼んでいいんですか(笑)。日本公演についてはまだ発表されていませんが、なんとか実現してほしいところ。それでは、今週のプレイリストと〈Song Of The Week〉から!」
aespa 에스파 “Savage”
Song Of The Week
天野「〈SOTW〉はこれしかないでしょう! aespaの“Savage”!!」
田中「まあ、今週は話題曲がたくさんあったんですけどね……。とはいえ、aespaの新曲は無視できません。K-Popの次世代を担うグループが10月5日にリリースしたファーストミニアルバム『Savage』の表題曲です」
天野「いまの盛り上がりっぷりを考えると、“Next Level”が話題になったときに〈PSN〉で取り上げておいてよかったです。ライターの上野功平さんも彼女たちの虜になっているようですしね! さて。おさらいになりますが、aespaはカリナとウィンター、そして日本国籍のジゼルと中国国籍のニンニンからなる4人組。デビューから1年足らずでこれほどの人気グループになったのはすごいことですよね」
田中「独特のサイバーな世界、洗練された音楽性、そして歌やラップ、ダンスの確かな実力がなせるわざでしょうね。7月にはアメリカのクリエイティブ・アーティスツ・エージェンシーとの契約を果たしたそうですし、今後はアメリカでも人気を獲得していきそうです」
天野「そんな彼女たちの名刺代わりになる作品『Savage』からのこの曲、鋭く尖った金属的なヒップホップサウンドと4人の変幻自在なボーカルワークが最高なんですよね! 超かっこいいです。〈Gimme gimme now〉〈Zu zu zu zu〉というフレーズは中毒性抜群。これは今年のベストソングでは?」
田中「それは言いすぎじゃないでしょうか(苦笑)。でも、目まぐるしく展開していくビートや、ウィンターやニンニンが伸びやかな声で歌うメロディーは、魅力に満ちあふれていますね。〈これから世界のポップシーンに殴り込みをかける!〉と宣言しているかのような、アグレッシブなリリックもいいですし」
天野「そうなんですよ。ちなみに、僕はウィンター推しです!」
Måneskin “Roadside”
田中「イタリアはローマ出身の4人組、マネスキンの新曲“MAMMAMIA”。5月に開催された〈ユーロビジョン・ソング・コンテスト〉での優勝以降、世界的なバズを巻き起こしている彼ら。もちろん、〈PSN〉もプッシュしています。〈2021年上半期洋楽ベスト・ソング〉では、彼らの“ZITTI E BUONI”を14位に選びました」
天野「イギー・ポップと夢の競演を果たした“I WANNA BE YOUR SLAVE”もよかったんですけど、この“MAMMAMIA”は最高ですね! 初期のアークティック・モンキーズをほうふつとさせるヘヴィーでグルーヴィーなガレージロックサウンドに、2000年代のポストパンクリバイバル的なディスコパンクビートというエレメントは〈これぞマネスキン〉という仕上がり。なにより、〈Ma-ma-mamma mia〉というフレーズがやたらとクセになります」
田中「〈♪Ma-ma-mamma mia〉。マネスキンの魅力は、いまのロックバンドにはなかなか出せない軽妙さだったり、滑稽になるギリギリ手前のキャッチーさだったりすると思うんですよね。2000sポストパンク勢のなかでももはや誰も覚えていないオートマティック、シットディスコあたりの感覚がマネスキンにはあって、個人的にとても好ましいです。もちろんマネスキンは、一発屋や仇花にはならない本物だと思いますが」
天野「それは亮太さんの趣味に寄せすぎ(笑)。Rolling Stone Japanの記事に書いたとおり、僕はモダンなヘヴィネスを備えたサウンドも魅力だと思います」
田中「いずれにせよ、抗えない魅力があるんですよね。彼らの快進撃はますます勢いを増していきそうな気がしますし、今後が本当に楽しみです!」