60sファッションやソウル・ミュージックにインスパイアされたという3作目。過去2作でも一部でスウィンギンなポップ・ソウル路線を試みていたが、今回はそのアプローチで全編を統一し、ハスキーで情熱的な歌声を引き立てている。クリスティーナ・アギレラ“Nasty Naughty Boy”ではオリジナルの擦れっ枯らし具合を受け継ぎつつおきゃんでキラキラした魅力を振り撒き、はたまたケヴィン・マイケルのブルージーな“Ain't Got You”をディープに歌い込み、ボートラ収録のジャッキー・ウィルソンの名曲においては軽妙なノーザン・ソウル・マナーをフレッシュに踏襲し……と、カヴァーの出来も上々。〈現代版ダスティ・スプリングフィールド〉と言いたくなるほど、レトロ・モードの着こなしが見事だ。