前作『Be The Cowboy』のヒットによって、インディー界のスターとなった日系アメリカ人アーティストによる6枚目のアルバム。シンセ・オリエンテッドなサウンドを軸にした多彩な曲の数々は、インディー界隈にとどまらない広がりを意識しながら、安易にメインストリームに接近しないユニークさが聴きどころ。ドローン・サイケにアプローチして持ち前のメランコリーを印象づける一方で、パンデミックの影響なのか、〈励ますような曲を作る必要があった〉という理由から生まれたダンサブルな曲が大半を占めていることに注目したい。なかでもモータウン・サウンドのエッセンスを80sエレポップに落とし込んだ“Should've Been Me”は、さらなる展開を予感させるという意味で大きな収穫と言えそうだ。