初期のチェンバーなアンサンブルから、ブレイク作『Puberty 2』前後でのグランジ、前作『Laurel Hell』のシンセ・ポップまで、ミツキはたえず音楽性を変化/更新させてきた。その意欲的な姿勢は新作でも変わらず。2014年の3作目以降、タッグを組み続けるパトリック・ハイランドと共に、今回はクラシカルかつシネマティックな音作りで、甘さとほろ苦さが混濁する世界を表現している。オーケストラと計17人の合唱団を迎えたサウンドは、優雅ながらも厳粛。スコット・ウォーカーやリー・ヘイズルウッドの諸作を彷彿させる、メロドラマティックな一枚だ。最高傑作を更新したかも。
ミツキ(Mitski)『The Land Is Inhospitable And So Are We』クラシカルかつシネマティックな音作りが際立つ最高を更新した新作
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