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オムスのヒップホップに対する姿勢に!大変感銘を!受けてですね!素晴らしい男だなと!

――そもそもKMCとOMSB、2人の出会いはいつ頃ですか?

OMSB「俺がラップをやる前だからもう10年以上前……町田のイベントで、KMCがゲストライブとかをやってて。で、その後にあっこゴリラのリリパか何かで一緒になったんじゃない?」

KMC「ライブで一緒になったのはその時だね」

OMSB「その時、KMCが声かけてくれて〈(OMSBのライブが)正直こんな良いと思ってなかった〉って言ってくれて、何様だよって……」

KMC「ヘッヘッヘ(笑)。いや、ラップが凄い上手くなったなって感じて」

OMSB「まあ、それはともかく(笑)。そういう流れで〈一緒になんかやれたらいいね〉みたいな話して」

KMC「そこらへんからだよね、家に遊びに行ったりするようになったのは。とにかく……オムスの、ヒップホップに対する姿勢に!大変感銘を!受けてですね!素晴らしい男だなと! それで是非曲を、って感じですね!」

OMSB「ンッフッフ(笑)」

 

OMSBは尻叩く系の鬼プロデューサー

――実際、今回のアルバムも、オムスのビートの曲、例えば2曲目“Outta Here”とかもメチャクチャカッコいいですね。それと3曲目の“HOO!EI!HO!”もオムスですが、この曲はPresident BPM(近田春夫)がオリジナルで、日本語ラップクラシック的な一曲ですが、これを今カバーしようと思ったのは何故でしょうか?

KMC「もともと俺が“KMCの夜を使いはたして”(2018年)とか、カバー的な曲をいろいろやってたんですよ。そこでオムスがふと〈“KMCのHOO!EI!HO!”やんなよ〉って言ったんですよ」

2018年のシングル“KMCの夜を使いはたして”

OMSB「俺がその時、改めて“HOO!EI!HO!”にハマってたんだよね。やっぱスゲー曲だなって。最初は俺がカバーをやろうと思ってたんだけど、KMCの方がいいかなって思って」

KMC「初めはちょっと面食らったけど、でもそうかもな、みたいな。“KMCのHOO!EI!HO!”だったらこんな感じかな、ってリリックを書いて」

OMSB「ビートはとりあえず、乗せれそうなブレイクビーツを急ぎで作ったんだけど、何回も作り直して、あのカタチに落ち着いて」

KMC「やっぱ“HOO!EI!HO!”という、あの曲だよね。カンタンにやっちゃいけない」

OMSB「サラッと終わる曲(カバー)にしちゃいけないっていう、そこはスゲー考えたね」

KMC「俺はもう途中で、これでいいって一瞬思ったから。そこを踏みとどまった(更に作り込んだ)のはオムスだから。素晴らしいよね」

『ILL KID』収録曲“HOO!EI!HO!”

――オムスが単にトラックを提供するだけじゃなく、曲そのもののアイデアだったり、進行にも関わっている、と。

KMC「今回いろんなビートメイカーからトラックを貰ってますけど、オムスの曲は〈プロデュースされた〉って感じが凄くあって。オムスじゃないと発揮できなかった部分がある。このビートでやってみなよ、っていうカタチで〈示す〉人だと思いますね。気抜いたら振り落とされるみたいな、そんな感じがあるんですよ、この人。尻叩く系ですね(笑)」

OMSB「いや、俺も昔は(トラックを提供したラッパーに)言えなかったんだよ。言っても〈でも納期もあるし……〉みたいに、そのまま行っちゃったり。それが結構悔しかったから……。俺もそれを甘んじてた所あったけど、ここ数年、そういうのやめよう、ちゃんと言おうって思って」

KMC「その方が絶対いいよ。尻叩く系の鬼プロデューサー! レコーディングも元々、普通にスタジオで録って、オムスに送ったんですよ。凄い良かったって言ってくれたんですけど、やっぱ〈でも録り直そう〉って提案してくるんですよ(笑)」

OMSB「こういう内容の曲になったんだ、っていう所にはめちゃくちゃブチ上がったけど(KMCなら)もっとバイブスが乗せられるって。だから〈悪いんだけど、録り直そう〉って言ったんです。音も悪くなっちゃうけど、スタジオじゃなくウチで。録音環境とかも整ってなくて、やり直したりしたけど、それでも良かったな~って思ったね」

KMC「うん、良くなった。〈カブセもう一本入れとこう〉とかオムスがいろいろディレクションしてくれて。1日で3曲とか、汗だくになりながら録って」

――オムスの家で、オムスが立ち会ってラップを録音し直した方が、スタジオより音質は劣ってもトータルで良くなったと。

OMSB「しかもめちゃくちゃ声デカいから。普通の民家でこの声量を出すもんだから、雨戸も閉め切って録って(笑)。頑張ったよね」

KMC「帰り道、オムスに〈良いよ! 絶対良くなるよ!〉とか励まされたよね。エモいですね(笑)」