〈フジロック〉でのフェイ・ウェブスターとの共演も記憶に新しいmei eharaは、5年ぶりとなる3作目で高まり続ける期待にしっかりと応えてみせた。シティ・ポップ、ネオ・ソウル、インディー・ロックを横断する楽曲は確かな時代性を宿し、抑制の効いたトーンで感情の機微を伝える歌声と、物語的で文学性の高い歌詞の組み合わせが実に素晴らしい。トリプルファイヤーのギタリスト・鳥居真道をはじめとしたバンド・メンバーとの関係も有機的で、アフロやボサノヴァが隠し味的に使われているのも魅力的だ。昨年の柴田聡子のアルバムと並ぶような、2025年のインディー・シーンを語るうえで欠かせないであろう傑作。