卓越したギタープレイとボーカルの魅力で知られる、シンガーソングライター/ギタリストのReiさん。彼女が〈今これしか聴いてない!〉というイチオシの音楽を月ごとに紹介する連載が、この〈Rei’s REPEAT REPEAT!〉です。

第6回となる今回Reiさんが紹介するのは、イギリスのエレクトロポップデュオ、ホンネ(HONNE)による2020年のアルバム『no song without you』。内省的でありつつ人肌の温もりが感じられるそのサウンドは、だんだんと寒くなってくるこれからの季節にぴったりです。またReiさんは彼らの作り出すサウンドだけでなく、歌詞にも心惹かれているのだとか。

温かい飲み物でも片手に、ホンネへの愛情がじんわりと滲むReiさんの文章をどうぞごゆっくりお楽しみください。 *Mikiki編集部

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2021年10月15日開催の〈Reiny Friday vol.12〉東京公演にて
Photo by Hajime Kamiiisaka

今月はこれしか聴いていない。わたしは音楽も、映画も、食べ物も、一度ハマると狂ったようにそれをリピートする癖があるようだ。みなさんも現実が息苦しい時ほど、すがるような気持ちで音楽を繰り返し聴いた経験が少なからずあるのではなかろうか。

シンガーソングライター/ギタリストのReiです。当連載〈Rei’s REPEAT REPEAT!〉ではわたしがついつい繰り返し聴いてしまう、個人的バズり盤を紹介していこうと思います。

HONNE 『no song without you』 Tatemae/Atlantic/ワーナー(2020)

今月はホンネのアルバム『no song without you』しか聴いていない。

ホンネは2014年に結成された、イギリスのエレクトロニックデュオ。アンディ・クラッターバック(Andy Clutterbuck)とジェイムズ・ハッチャー(James Hatcher)が大学時代に意気投合して音楽制作するようになったことがきっかけ。ホンネはまさしく〈本音〉が語源で、彼らの立ち上げたレーベル名も〈TATEMAE(建前)Recordings〉。ここから既に伝わってくるだろうが、二人は無類の日本好きなのである。

さてホンネのプロフィール紹介もほどほどに。今作『no song without you』についてたっぷり語ろうと思う。

『no song without you』収録曲“no song without you”
 

去年から始まったコロナ禍のぼっち時間において、わたしはブルーノ・メジャーの『To Let A Good Thing Die』(2020年)、そしてホンネの『no song without you』の2作を耳がとれるほど聴いた。

ここ最近ぐっと寒くなってきて、突然今作が持つ暖炉のようなあたたかさをふと思い出し、再び繰り返し聴いているのだ。

サウンドは浮遊感とあたたかさが同居するエレクトロニックポップ。メロディーも美しいけれど、華やかさはなく、慎ましささえ感じる。歌はほぼ寝起き状態。だらだらしていて、面倒くさそうで、眠そう。

『no song without you』収録曲“gone gone gone”
 

ここまで書いておいて〈あんまりこの人このアルバム好きじゃなさそうだ〉と思う人もいるかもしれない。わたしもこのアルバムの中毒性がどこにあるか未だに解明できていないのが本音だ。

だけどひとつだけ、確信をもって断言できることがある。ブルーノ・メジャーの『To Let A Good Thing Die』のレビューも時が満ちたらMikikiでしたいと思っているけれど、どちらの作品にも共通しているのが〈こんな風に愛されてみたいな〉と願わずにはいられないほど、愛に溢れた歌詞で綴られているということだ。

〈君がいなければ曲のひとつもできない。君がいないと何も感じることができない。僕が落ち込んで、もう僕には何一つ残っていないと思った時、君は僕を優しく救い出してくれる〉――“no song without you”より

〈君に欲しいもの全部買ってあげられないけど、僕の愛はフリーだよ。無償の愛さ、いくらでも君にプレゼントする〉――“free love”より

ど直球で翻訳しながら照れ臭くなってしまったくらいだが、低体温のだるそうな歌で歌われるとすんなり受け入れられて、冷えた身体にぬるま湯が注がれていくような幸せな気持ちになる。

『no song without you』収録曲“free love”
 

女の子はシンプルな〈好きだよ〉の言葉があれば、それで十分。仕事も、おしゃれも、家事も、ダイエットもすべてが輝いて、頑張れちゃうことをこの人たちは心得ている。さすが英国紳士である。

 

〈Rei’s REPEAT REPEAT〉第6回、いかがだっただろうか。チェスターコートの中に桃色のモヘアセーターを着たわたしが、垂れ目のロンドンボーイと恋に落ちる物語を妄想しながら今夜もホンネを聴こう。

2021年10月15日開催の〈Reiny Friday vol.12〉東京公演にて
Photo by Hajime Kamiiisaka

わたしの最新曲“Smile! with 藤原さくら”のミュージックビデオ及び、曲もたくさん聴いて欲しい。こちらも〈大切なひとの幸せを願う〉シンプルなラブソング。

Reiの2021年のシングル“Smile! with 藤原さくら”
 

 


RELEASE INFORMATION

Rei, 藤原さくら 『Smile! with 藤原さくら』 Reiny/ユニバーサル(2021)

リリース日:2021年10月15日
配信リンク:https://lnk.to/Rei_Smile_Sakura

TRACKLIST
1. Smile! with 藤原さくら

 

LIVE INFORMATION
Rei presents “JAM! JAM! JAM!”

東京公演
2021年12月10日(金)、11日(土)東京・南青山 ブルーノート東京
各日2ステージ公演
※12月11日(土)2ndショウのみインターネット配信(有料)予定
一般ウェブ先行予約受付:2021年11月2日(火)12:00~
お問い合わせ(ブルーノート東京):03-5485-0088
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/rei/

大阪公演
2021年12月23日(木)大阪・梅田 ビルボードライブ大阪
2ステージ公演
一般予約受付:2021年11月3日(水・祝)12:00~
お問い合わせ(ビルボードライブ大阪):06-6342-7722
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=13059&shop=2

■バンド
Rei(ボーカル/ギター)
吉田一郎不可触世界(ベース)
TAIHEI(キーボード)
石若駿(ドラムス)

※今後の社会情勢や政府の方針等により、公演実施の可否、公演時間が変更となる場合がございます。オフィシャルサイト、SNS等で最新情報をご確認いただき、新型コロナ対策をご理解のうえ、ご来場くださいますようお願い申し上げます

 


PROFILE: Rei
卓越したギタープレイとボーカルをもつ、シンガーソングライター/ギタリスト。幼少期をNYで過ごし、4歳よりクラシックギターをはじめ、5歳でブルーズに出会い、ジャンルを超えた独自の音楽を作り始める。
2015年2月、長岡亮介(ペトロールズ)を共同プロデュースに迎え、ファーストミニアルバム『BLU』でCDデビュー。
〈FUJI ROCK FESTIVAL〉〈SUMMER SONIC〉〈RISING SUN ROCK FESTIVAL〉〈SXSW Music Festival〉〈JAVA JAZZ Festival〉〈Les Eurockeennes〉〈Heineken Jazzaldia〉などの国内外のフェスに多数出演。2017年秋、日本人ミュージシャンでは初となる〈TED NYC〉でライブパフォーマンスを行った。2021年2月26日、初の海外デビュー盤となる『REI』をアメリカNYに本拠地を置くVerve Forecastよりリリース。