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それぞれのコラボが生んだ反応

 アルバムの一曲目を飾るのは、ハナレグミ(永積 崇)を迎えた軽快なAOR調の“RECIPE”。〈鼻歌交じりで ジョン・メイヤーかけるのさ〉〈白のストラト〉など、マイケルを構成する〈レシピ〉を綴ったような歌詞も非常にユニークだ。

 「2016年の〈TAICOCLUB〉で永積さんの弾き語りのライヴを観て、めちゃめちゃ感動したんです。当時はまだあんまり日本の音楽を知らなかったんですけど、〈こんな素晴らしいシンガー・ソングライターがいるんだ〉と思って、それからずっと好きですね。永積さんは一度家に遊びに来てくれて、僕にインタヴューするみたいな感じになって、それが歌詞になっていて。タイトルは家にあったスヌープ・ドッグのレシピ本から来てると思います(笑)。永積さんとやるならもうちょっとフォーキーな曲も考えたけど、あえて普段やらなそうな、でも絶対に合いそうなコード進行やグルーヴの曲にしてみました」。

 2曲目の“DRIVEAWAY”に参加した藤原さくらもフォーキーなイメージがあるが、この曲では生演奏のヒップホップ・ビートでラップ調のヴォーカルを披露。〈伸びた蕎麦でも食って のんびりいこうぜ〉のような、ややダークな曲調に合わせた攻撃的な歌詞も新鮮だ。

 「彼女の『SUPERMARKET』(2020年)に僕も英詞サポートで参加してるんですけど、そのなかに一曲スポークン・ワードっぽい曲があって。この“DRIVEAWAY”のトラックができたときに、あの感じを2人でやったら意外性があっておもしろいと思ったんです。歌詞に関しても、〈攻めていいよ〉みたいなことを言いました。例えば僕もAmPmとかの曲に参加するときは普段と違う自分を演じるような気分になるんですけど、さくらちゃんもそんな感じで書いてくれたんじゃないかな」。

 バラード・ナンバー“SHIGURE”に参加した23歳のシンガー・ソングライター、さらさは、大橋トリオが参加した“GIRLS”でも作詞を担当し、惚れっぽい男をなだめる友達とのやり取りが楽しい。マイケルは大橋のバンドにギターとコーラスで参加し、〈ミュージシャンとしては、直接会った人のなかでいちばん影響を受けた〉と語る。

 「さらさちゃんは声もいいんですけど、僕が鼻歌で歌った英語っぽいメロディーに日本語をめちゃめちゃ上手く乗せてくれるんです。なので、大橋さんとの曲もさらさちゃんに作詞をお願いして。僕はもともとギター・キッズで、アレンジのことはあんまり考えてこなかったんですけど、大橋さんからはそこをすごく学ばせてもらいました。“GIRLS”は大橋さんが普段やらないであろう4コードのループみたいな感じなんですけど、大橋さんがブリッジを作ってくれて転調させることによって、大サビが一気に開けましたね」。

 Michael自身がナイル・ロジャースばりのカッティングを聴かせるディスコティークな“SANDIE”はさかいゆうとのコラボ。共同プロデュースも担当したさかいは、生楽器のアンサンブルを作り上げ、みずからローズも弾き、さらには〈こんな僕を裁くがいい いっそ君と砂漠がいい〉と言葉遊びを交えた歌詞も手掛けるなど、楽曲への本気度も窺わせる。

 「この曲はゆうさんのスタイルに少し寄せたイメージで、彼がダンス・ミュージックっぽいのが好きなのも知ってたし、生楽器に対するこだわりも知ってたから、そのあたりをディレクションしてほしくて。なので、デモから全部生楽器に差し替えて、一個一個の楽器にこだわって作りました。僕の2歳と5歳の姪っ子がこの曲をめっちゃ歌ってるらしくて、すごいキャッチーなんでしょうね(笑)」。