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成熟した自然体の表現

NE-YO 『Self Explanatory』 Compound/Motown/ユニバーサル(2022)

 そしてこのたびリリースされたのが、『Good Man』(2018年)以来となるモータウンで4枚目のオリジナル・アルバム『Self Explanatory』だ。とはいえ、その間にもクリスマス・アルバム『Another Kind Of Christmas』(2019年)があったり、OT・ジェナシスとのコラボで妻との離婚を歌った“Pinky Ring”(2020年)などのシングルは続いていたし、アーミン・ヴァン・ビューレンの“Unlove You”(2019年)やピットブルの“Me Quedaré Contigo”(2019年)、ジーズィの“The Glory”(2020年)、ベニー・ベナッシ“Let Me Go”(2021年)などの客演であの声を聴く機会は少なくなかったので、さしたる不在感があったわけではない。ただ、今回のアルバムを特徴づけているのは、トレンドとも適度に距離を取りながらパーソナルな目線で40代男としての思いを表現していることだろう。コロナ禍を経て別れた妻とは復縁して新たに子どもも授かるという、まさに“Because Of You”の仲直りダンスを地で行く(?)展開となったわけだが(それゆえか“Pinky Ring”はアルバム未収録)、そのように成熟したラヴソングも含めて率直な自然体の表現が今回はより目立っているように思える。

 そんなわけで作品の根幹にあるのが主役自身のソングライティングだというのは変わらないが、モータウン移籍後の傾向として新進のメンツも含む数多くのトラックメイカーやソングライターを登用する流れも顕著で(クリスマス盤に続いてスターゲイトの参加はなくなった)、今回は特にさまざまな若手とのコライトを楽しんだかのようだ。その多くが初顔合わせの名前となるのも興味深いところで、Gイージーやチンクスとの仕事で知られるリモ(・グリーン)が3曲を手掛けたほか、ベイ・ラップのヴェテランでデヴィッド・ゲッタやKSIらにも関与するマリー ・モール、売れっ子のカーディアックやヒットメイカ(あの元ヤング・バーグである)、ポール・キャビン、ロックスター(リオン・ヤングブラッド)のように名のある面々もいれば、ステフロン・ドンやアシュニコを手掛けるエベネザー、カリードやラウヴと組むディジ、ポルトガルのギタリストと思しきフランキーオンザギターなど予想以上に多彩だ。