音楽ZINE「痙攣 Vol.3 ロックの過剰 プログレ/ニューウェイヴ特集」が2023年1月15日(日)に一般発売される。

Mikikiでもたびたび執筆してもらっている李氏が編集長を務める「痙攣」。〈広告媒体化とセグメント化が同時進行する既存の音楽雑誌や、読者にまとまった文脈を提示する機能の弱いネットメディアに対する、オルタナティブな紙媒体のメディアとして構想され〉、〈広告を一切入れずに音楽メディアとしての自律性を保つこと〉、〈既存の言説ではシリアスに取り上げられてこなかった作品やアーティストを掬い取ること〉、〈ZINE全体でひとつなぎの文脈を提示すること〉などの〈実践の場〉として制作されている音楽ZINEだ。

「痙攣」はこれまで、2020年5月に「痙攣 Vol.1 チル/暴力 特集」を、2021年11月に「痙攣 Vol.2 もう一度ユートピアを 国内音楽特集」を刊行し、既存の音楽媒体や語り口とは異なる独自の視点や内容がTwitterを中心にソーシャルメディアで注目を集めてきた。

そして、2022年6月、新刊「痙攣 Vol.3 ロックの過剰 プログレ/ニューウェイヴ特集」の制作に向けて、資金の調達を目的に、CAMPFIREでのクラウドファンディングで支援を募った。「痙攣」は、1か月半のあいだに支援額727,060円、支援者158人を集め、「Vol.3」を制作。すでに、昨年末から支援者へ先行で発送が始まっている。

「Vol.3」の一般発売が待望されるなか、昨日1月8日、ついに一般向けの予約がスタートした。

今号では、李氏による巻頭言〈ロックの過剰について ―技術・主体・共同体の視点から―〉でロックの拡張性=過剰を検討。〈ロックの過剰〉の例として、〈プログレ編〉と〈ニューウェイヴ編〉で両ジャンルでの実践を論じ、各セクションにダニー・エルフマン『Big Mess』(2021年)THE SPELLBOUND『THE SPELLBOUND』(2022年)のクロスレビュー、ジョン・ゾーン論、BUCK-TICK論などを収録。また、2つのセクションのインタールードでは、社会学者の南田勝也にインタビューを行っている。

執筆陣は、SF作家の樋口恭介ライターのs.h.i.ら、豪華な面々。さらに、編集協力で對馬拓、清家咲乃、山元翔一が、校正校閲協力でOgawa Juncoと北出栞が、デザイナーとして山本蛸が参加している。

〈ロックの過剰〉という刺激的なテーマを掲げて思考した、興奮の一冊「痙攣 Vol.3」。ぜひ手に入れてほしい。

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BOOK INFORMATION
痙攣 Vol.3 ロックの過剰 プログレ/ニューウェイヴ特集

発売日:2023年1月15日(日)
価格:2,200円(税込)

CONTENTS
序文 李氏

〈巻頭言〉
ロックの過剰について ―技術・歴史・共同体の視点から― 李氏

〈プログレ編〉
1 極東奇想音楽絵巻 妖怪みたまん
2 分裂者たち 樋口恭介
3 ダニー・エルフマン『Big Mess』クロスレビュー  
・「みんな」に置き去りにされた人物が背後から投げつける圧倒的なゴミの塊 永田希
・参照される存在としてのプログレッシヴロック 高橋祐希
・汚れと流れ 灰街令
4 わからないものをわからないまま理解するために:ジョン・ゾーンが取り組む「プログレッシヴメタル」の在り方と、そこに伴う「ジャンル」の話 s.h.i.

〈インタールード〉
ロックを語ることの現在地点 南田勝也インタビュー 取材:李氏

〈ニューウェイヴ編〉
1 ニューウェイヴとヘヴィメタルの融和の旅路~ゴシックメタルを介して俯瞰するHR/HMとニューウェイヴの蜜月~ tkhr _gother
2 THE SPELLBOUND『THE SPELLBOUND』クロスレビュー 
・希望を演算する漆黒のモノリス 北出栞
・不在からエーテルへ 李氏
3 BUCK-TICK論、あるいは2つの撹乱について 李氏