ニューアルバム『(エン)』を2022年にリリースし、現在は佐藤乃々子さんの卒業を前に〈RYUTist SEASON3 LAST TOUR「会いにいきます」〉を開催中のRYUTist。そんなRYUTistの宇野友恵さんによる連載〈RYUTist宇野友恵の「好き」よファルセットで届け!〉では、友恵さんがお気に入りの本を紹介してくれています。今回の一冊は、乃々子さんとの思い出を振り返る日々のなかで出会った金井真紀さんの「世界はフムフムで満ちている」。2人の関係やRYUTist結成からの12年の歴史、その思い出とともにお届けします。 *Mikiki編集部

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春がやってきました。
街行く人たちのさまざまな生活、変わろうとしているものがちらりと見えてくるこの季節は、雪解けの暖かさに便乗するようにすれ違う人たちの未来をそっと応援したくなります。

私たちRYUTistも、この春大きな変化があります。
気づけば4人でのラストライブまで、あっという間に1ヶ月を切りました。

卒業するリーダー佐藤乃々子(以降のんちゃん)とはRYUTist結成から12年の付き合いです。

出会った当初は中学1年生と高校1年生でした。
この中学生と高校生の3歳の差はとても大きいと、当時は感じていました。

 

のんちゃんはみんなを優しく見守っていてくれるリーダーです。
でも内に秘めた芯がしっかりとあって、彼女の言葉や行動には嘘がなく、尊敬しています。

いつどんなときも自分を列の後ろにおいて考え、いざというときくるっと振り返ってみると、いつのまにか先頭になって引っ張ってくれているような頼もしい人です。

私たちはのんちゃんを見て育ちました。

5人でスタートしたRYUTistですが、1人卒業して、年齢的に2番目になった私が年上ののんちゃんを支えられるように頑張らなきゃと中学生なりに焦っていたのを思い出しました。
すぐには大人になれませんでしたが、お姉ちゃんが少しずつ年下メンバーを頼ってくれるようになったのは嬉しかったです。

 

この12年で彼女の愛おしい部分をたくさん知りました。

突然〈何秒でアイスを食べるか〉といったプチゲームをはじめたり、お仕事終わりのスイッチが切れたときのだらけ具合は人様にはお見せできないほどだったりします。
意外とお笑い好きでYouTubeを見まくってて、私が〈面白かった〉と共有した動画は大体全部視聴済みでした。猫に関しては好きすぎて我慢ができず、見つけたら持って帰りそうな勢いでこわいです。

先ほど12年前の動画を見てみました。

2011年のライブ動画

デビューして2回目のライブで、のんちゃんと2人で歌っていたのは川越美和さんの“夢だけ見てる”のカバーでした。
いま見たら感慨深く感じたりするかなと思って再生したのに、2人とも歌詞を間違えてるわ、猫背はひどいわで爆笑してしまいました。
歌詞の間違いは作家さんにもライブを見にきてくださった方にも失礼なので、当然やってしまったときはめちゃくちゃ反省するし、間違えないように確認して頭に叩き込みもします。
それを大前提で言うと、間違え方にもいろいろありますよね。
1番か2番か混乱パターン、勝手に作詞パターン、など。
このときの私は歌詞が出てこなくなって、途中から歌いはじめる、ノーマルタイプの〈頭真っ白パターン〉でした。
対して、のんちゃんは、〈歌詞を間違えた!〉と思った瞬間に早口で歌いなおし、語尾で尺を合わせるというかなりイレギュラータイプでした。“夢だけ見てる”のしっとりしたバラードに対して異質で高度なことをしていて思わずお茶を吹きそうになりました。そのタイプはレアすぎるので逆にかっこ良かったです。

今だからこそ笑えることだし、のんちゃんのユニークな魅力をまたひとつ知れて満足です。