自分が知らない自分
――本作には特典CDの収録曲を含めて14名のトラックメイカーが参加しています。人選はどのように?
「TOSHIKI HAYASHI(%C)くんは初対面だった。あとBACHLOGICやLIBRO、MANTIS、Jazadocument、Yotaroとかは繋がりがあったり、面識はあったけど、直接仕事をするのは初めて。だから、〈初めまして〉というよりは〈ついにやろうよ〉という声のかけ方だったね」
――プロデューサーごとにいくつかトラックを貰って書きはじめたんですか?
「そういう人がほとんど。CELORYくんやWATARAIくん、BLくん、%Cくんはいきなり何十ってトラックが送られてきて、しかも全部良くて。何ならその人だけでアルバムが作れちゃうくらいで、選ぶのも一苦労だったね」
――〈こういうビートを作ってくれ〉とオーダーしたケースは?
「最初のオファーではまったくしてないね。俺もいろんなテーマのリリックを考えてたし、乗せたいビートだったらどんなビートでも曲に出来る自信はあるから。むしろ知らない自分を引き出してほしいという気持ちが大きかった。俺とやったらどんな化学反応が生まれるんだろう?みたいな気持ちもあるからさ。じゃないと初めての人にお願いしないわけだから」
――プロデューサーとの作業を進めていくなかでポイントを置いた部分は?
「アレンジだね。良いビートを貰っても、リリックを乗せると印象が違ってくることがあるから。基本的に貰ったビートとリリックで8割は出来てるけど、それだけじゃ不十分。もっとアレンジで何かアイデアがない?と言っても、そこからの広がりを見通せなくて、じゃあ今回はやめておこうというケースもあった。心苦しいけど、そこはソロ・アルバムだから自分のエゴを通させてもらった。hondaさんとやったことでアレンジに対する考え方、比重の置き方が大きく変わったことも要因にあるのかもしれない」
――本作ではところどころに映画などのセリフがサンプリングされてちりばめられています。そういったネタの引き出しはどのように作られているんですか?
「コロナ禍でライヴがなかったから映画を観る機会が増えて。そこはレコードを聴きながらサンプリング・ソースを探すのと同じだね」