CD 3枚組+Blu-ray Disc+12インチアナログ盤のセット『RYUTist 2011-2023』を受注販売することを発表したRYUTist。現体制のラストを飾る豪華なベスト盤にして、RYUTistの歩みが凝縮された同作に注目が集まっています。さらに、2023年5月6日(土)には、新体制で初の単独ライブ〈RYUTist LIVE SEASON4 “はじまりの季節”〉を東京・青山のRizMで開催。新しい季節に向かって、3人は走り出しました。そんなRYUTistの宇野友恵さんによる本にまつわる連載が、〈RYUTist宇野友恵の「好き」よファルセットで届け!〉です。今回は、この連載でおなじみ、新潟の北書店についての特別冊子「北書店の本棚」を取り上げてくれました。 *Mikiki編集部

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〈新たな場所に根を張って生活することや、一気に何もかもが変わることに対して、自分なりの距離感をつかもうとしているのかもしれない。〉

 

2023年4月14日。新たな出発の日。
〈南波一海のアイドル三十六房 特別編 ~RYUTist新体制初ライブ&トーク・スペシャル~〉にてRYUTistが4人から3人になって初めてのライブを行いました。

たくさんの方に見守っていただき、あたたかい言葉をかけていただき嬉しかったです。

今、ライブ終わり、新潟に帰ってきてすぐの身体でこの文章を書いています。

のんちゃんの卒業ライブから今日までは10日間くらい。
人生の半分をともに過ごした人がいなくなるって、わかっていたのに、うまく切り替えられずにいます。
準備できることは先にしておきたいのに、いつも心の調整は下手くそです。

RYUTistのメンバー、むうちゃん、みくちゃんも同じくで、3人で最初のレッスンではダンスの先生に〈ため息禁止令〉を出されました。(笑)

そんな暗く、ぬるっとしたはじまりをどうにかしなきゃと思いながら、できたての「北書店の本棚」を読みました。

南陀楼綾繁, 佐藤雄一, 上田浩子 『北書店の本棚』 まちの日々編集室(2023)

 

北書店さんは新潟の本屋さん。
2010年に新潟市役所前に開店してから、昨年8月に閉店。
そして、その3ヶ月後の12月には、場所を新たに開店しました。

まちの日々180」という新潟市内を中心に販売されている冊子があり、今回、別冊で刊行されました。
北書店さんのこれまでの歴史がまとめられた一冊になっていて、たっぷり読み応えがあります。

私にとっては本を好きになった大切な場所です。RYUTistとして、そして宇野友恵としていろんなイベントに参加させていただき、またお客さんとしても北書店で開催されるイベントに足を運びました。

佐藤店長と出会った2016年以降の記述は、読んでいると自分の歴史を辿るようでもありました。
12年前の私から今の私がまったく結びつかなくて、なにをきっかけにして人生が動いていくか本当にわからないなと感じます。

 

冒頭の一文は、この本に再録されたコラム〈晴雨計〉の〈先が見えない〉から。
佐藤店長が新潟市で一人暮らしを始めた頃のことを書かれた文章でしたが、この一文はまさにいまの自分のことを代弁してくれているようでした。

4人から3人。数字で見ればたった1の差でも、その不在には大きな影響がありました。
歌やダンスが変わるだけじゃない、彼女がいたから保たれていたバランスがチーム全体であったんです。

彼女の代わりはいません。
それでも前に進まなければいけない。
数日後にはお披露目のその日がきてしまう。

初ライブが終わらないと、この不安は消えるのか、逆に増してしまうのか、どこにいくのかはなにもわからない。
だから、〈一旦ライブに集中しよう!〉と考えるのをやめました。

佐藤店長のコラムを読んで、いまは時間の流れに身を任せてみるのがいいのかもしれないなと吹っ切れたようでした。