高感度な楽曲性を武器に現場を沸かせる5人の小悪魔天使が待望のメジャー・デビュー――尖ったサウンドのエッジに容赦なく磨きをかけて悪魔の聖歌が鳴り響く!

 〈沸ける正統派アイドル〉をコンセプトに掲げ、尖った音楽性と熱量の高いパフォーマンスで着実に支持を広げてきた、竹越くるみ、竹本あいり、水野瞳、橋本侑芽、安藤楓から成る5人組グループ、〈デビアン〉ことDevil ANTHEM.が、ニュー・シングル『ar』でついにメジャー・デビューを果たす。

Devil ANTHEM. 『ar』 ビクター(2023)

 2014年の結成当初から、さまざまな音楽を採り入れた異種交配的な楽曲に取り組んできた彼女たち。最初期は今城沙々がほぼ全曲の詞曲を担当し、メタル色の強いデビュー曲“Devil ANTHEM.~キミのハートを征服中~”(2015年)や讃美歌“Amazing Grace”を大胆に引用した“覚醒 WOW WOW”などで無邪気な小悪魔ぶりを発揮していた。そんななか、現在もライヴの鉄板曲として人気の高い“Fever”(2017年)でDJ/トラックメイカーのRelectをアレンジャーに起用し、UKハードコア直系のレイヴィーなサウンドを導入。以降もハードスタイルに挑んだ“Like a 熱帯夜”、トランシーな“えっとねれみしー”(共に2018年)、ハピコア寄りの“LINK”(2019年)など今城 × Relectコンビによるアンセムを連発してハードなダンス・ミュージック路線を確立する。さらには、竹越のソロ名義の活動にEDM~ダブステップ曲を提供していたAILIが、シングル曲“Days”(2019年)からデビアン本隊にも関わるようになり、SOULHEADのTSUGUMI(!)も作詞で参加したフューチャー・ベースなラップ自己紹介曲“UP”(2020年)やトロピカル風味の夏ソング“Fantastic90”(2022年)などでさらに音楽性を拡張した。

 一方で、今城提供の“EMOTIONAL”(2017年)を起点としたエモーショナルなバンド・サウンド路線も彼女たちの軸のひとつになっており、そちらは同曲を編曲した山下智輝、コンポーザー/ギタリストの慎之甫、そしてデビアンのプロデューサーである佐藤海人による音楽制作チーム=蜜柑拉麺を中心に、これまたライヴに欠かせない“①②③④⑤”(2020年)や感動的なピアノ・エモ“by your side”(2022年)などの名曲を生み出している。

 そのように多彩なクリエイターたちのバックアップと、結成から約9年(唯一のオリジナル・メンバーである竹越は結成当時まだ小学生だった)、現メンバーが揃ってからもすでに丸5年近く活動を共にしてきた結束力によって、近年メキメキとライヴの動員数を伸ばし、昨年はEX THEATER ROPPONGIや日比谷野外大音楽堂でのワンマンを満員御礼で完遂。今年2月に4枚目のフル・アルバム『ADVANCE』を届けて勢いにさらなる弾みをつけ、念願のメジャーという〈新しい世界〉への第一歩を踏み出したのが、今城(作詞・作曲)× AILI(編曲)によるアッパーなドラムンベース“ar”だ。

 〈あの日見た夢〉に向けてまっすぐに突き進むその想いを、リキッド・ファンクの洗練性とダイナミズム溢れるトラックに乗せて高らかと歌い上げる5人の加速度は、間違いなく過去最高級。長く雌伏の時を過ごしてきた彼女たちだからこそ伝えられるエモさが、その活動を支えてきた2人のクリエイターのタッグによって結晶化している。さらにカップリングの“PA PA PA”は山下(作詞・作曲)と蜜柑拉麺×Relect(編曲)という鉄壁の布陣で制作。ワイルドにいななくギターと腹の底まで響くハードコアな4つ打ちが合わさった楽曲で、前述した彼女たちの主要な2路線をハイブリッドしたような曲調をこのタイミングに持ってきた意味を含め、5人のクールな歌声とハードなサウンドが熱く交差するダンス・ポップに仕上がっている。

 音源の魅力もさることながら、〈楽しく沸けるライヴ〉を追求して現場主義を貫いてきたデビアン。今回のシングルに収録の2曲も現在開催中の全国ツアーですでに披露済みとのことで、2023年6月27日(火)にはZepp Shinjukuでのファイナル公演も控えている。その先へ向かって全速力で走り続けている彼女たちが、“ar”を携えて日本中を沸かせる日も近いのかもしれない。

Devil ANTHEM.のアルバム。
左から、2017年作『Fever』(youthsource)、2019年作『Fake Factor』(カナメイシレコード)、2021年作『らいなう』、2023年作『ADVANCE』(共にMUSIC@NOTE)