Page 2 / 3 1ページ目から読む
シオンエピック

壊れたものが元に戻る

――わかりました。というところで、1年ぶりのニュー・シングル“イーアーティエイチスィーナーエイチキューカーエイチケームビーネーズィーウーオム”がようやく完成しました。この長い曲名は〈mou zenbu mechakuchani shitai(もう全部めちゃくちゃにしたい)〉を逆さ読みしたおまじないということですね。

ヒューガー「素晴らしくカッコイイ楽曲なんですけど。BiSが新しく始まるっていう状況を踏まえて、〈これからどんなことがあっても上手くいくように〉〈ずっと心を強く持って続けられるように〉っていう思いを込めて、中野さんと小林さんが作ってくださって。新しい門出にピッタリの特別な楽曲になりました」

――ヒューガーさんにとっても初めてのレコーディングになりますよね。

ヒューガー「はい、個人的にめちゃくちゃTHE NOVEMBERSさんが大好きでずっと聴いてたので、大尊敬のお二人に初めてのレコーディングを担当していただいて、ホントに貴重な経験でした」

シオン「自分がレコーディングしてるのが変な感じっていうか……自分がすることになるとは、っていう気持ちでした。でもレコーディングの時は、そのレコーディングの前よりは、その本番のほうが声は出た感じはしました」

イコ「私は初めてのレコーディングで、正解もわからないままがんばって歌ったんですけど。緊張して思った通りに歌えなくて悔しかったのと、いままで聴いてきたWACKの曲とは違う感じだったのもあって難しかったです。でもそれもカッコ良くて、上手く歌いたいって思ってがんばりました」

クレナイ「いままでとはちょっと違う……って、今回が初めてのレコーディングなんですけど(笑)。初めて聴いた時にもうめちゃくちゃカッコイイなって素直に思いました。もともと私たちが入る前から決まってた曲なんだよね?」

ヒューガー「そう、私が入った後ぐらいには聴かせてもらっていて」

――もともと3月に出る予定だったシングルですからね。

クレナイ「だからたまたまなんですけど、いまの私たちにピッタリ合う曲だなって凄く思います。全員で一緒に歌うパートも多いので」

トギー「レコーディングでは新体制の一体感が出るようにユニゾン中心の歌割を中野さんが考えてくださったんですけど、ライヴでずっと一緒に歌うのは難しいので、ライヴ用の歌割はスタッフさんに考えてもらって」

ヒューガー「ライヴと音源で違うところを楽しんでもらえたら嬉しいです」

トギー

――特にトギーさんはずっと松隈ケンタさんとやってきたわけですが、今回のレコーディングはどうでしたか。

トギー「いままでも大森靖子さんや日高央さんとレコーディングしたことはあったんですけど、やっぱりどの方もそれぞれやり方は違いますね、今回は曲調も変わったので、歌ったことない感じのノリ方が難しかったです。例えば〈イーアー〉はAメロであんまり声を張らずに歌うんですけど、これまでBiSはほぼ声を張る曲だったので、なかなかできなくて。でも、新しいものに挑戦すること自体は楽しかったし、自分の幅が広がる感じがするので習得したいと思って、特に難しいところは何回も録らせてもらいました。でも松隈さんも中野さんも共通してるのは、良いところは凄く褒めてくださるところですね。褒められると良い歌が歌えるので、優しい気持ちになりながら楽しくレコーディングさせてもらいました」

ナノ「そのAメロの静かに歌う場所は私もめちゃくちゃ苦戦しました。あと、ライヴだとイコがソロで歌う落ちサビとか、優しい声で歌うパートも難しかったです。いままでのまっすぐ歌うだけじゃない歌い方が必要だし、裏声を使うのとかも苦手で、めちゃくちゃ練習しても〈こんなに歌えないんだ〉って悔しかったですね。ちょっと改めて歌をもっとがんばりたいなって思いました」

――5月の初ライヴで初披露されてましたが、振付けはどういう感じで作られてるんですか?

ヒューガー「3人だった期間に振付けをだいたい考えてて、何人体制になるかわからなかったので、5~6人ぐらいを想定して作っていました。サウンドがカッコ良すぎてどうしたらいいかわからなくなって、3人で頭を抱えた日もありましたね(笑)」

――レコーディングよりも前に振付けを進めていたんですね。

ヒューガー「はい。小林さんの仮歌を聴きながら作ってた感じですね。私たちが歌ったらどうなるのかを想像しながら作るのが難しかったです」

ナノ「最初は曲を聴いたイメージを3人で共有しつつ、〈こういう感じがいいね〉っていう部分からトギーとヒューガーがアイデアを出してくれて、時間をめちゃくちゃかけて徐々に徐々に完成したという感じです(笑)。歌詞で〈どういう意味なんだろう?〉ってわかんなかった部分もあったんですけど、最終的にはレコーディングの時に中野さんと小林さんから曲の解釈とか歌詞の意味を教えてもらって、そこの部分をまた振付けに落とし込んで、何とか完成しました」

ヒューガー「3人で考えてた最初はサビの振りが違ったんですね。でも 〈もう全部めちゃくちゃにしたい〉を逆さ読みにして、このおまじないなんだよって小林さんに教えていただいたので。めちゃくちゃになったものが元に戻るような振りを入れようと思って、サビで何かを振り払うような振りと、魔法で戻ってくる感じの振りを両方入れました。そこがレコーディング後に変わったところですね」