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SU-RING

いい予感が凄くする

――で、リード曲以外にも新曲は6つあるので、順番にどんな曲なのか紹介してください。まず、オープニングは特殊な世界観の“ピラニア型人造人間”です。

BIBI「最初に聴いた時は〈どういうことなんだろう?〉と思いました(笑)。私は歌詞の意味とかを独自に解釈するのが好きで、文章を見たらそうするのが習慣なんですけど、歌割とかも決まってない段階で〈どうすればいいんだろう〉みたいな気持ちにはなってました。たぶん人造人間だから最後の〈キミハワタシノイチブ〉ってところはロボットっぽいのかなって思ったけど、たぶんRyanさんは凄く考えて作詞してくださってるから、ただ〈人造人間になっちゃった〉みたいな曲じゃないと思ってて。だから私はロボットっぽく歌うところも〈まだちょっと人間の感情ありますけど!〉みたいな歌い方をしたり、人造人間になった状況に対する葛藤をどうにか表現したいと思って、できないなりに解釈しながら歌っています」

――クセが強い曲ですよね。それに続く“INSOMNIA”も世界観が強めで。

プー「デモの段階でいちばん好きだった曲です。言葉遊び多めなのも好きだし、こういうちょっと変わった音楽が好きなんですよね。いっぱい悪口を言われて不眠症になった人の歌なので、イントロは全員で悪口を言ってるんですけど……」

KIN「私以外の5人は〈言われてそうな言葉〉で、私だけ〈言ってそうな言葉〉だってRyanさんが言ってました(笑)」

プー「あと、KINCHANは〈瞳孔が開いてるよ〉っていう台詞とか〈羊が一匹〉とか喋りに近いパートが多くて、メロディーをあんまり歌ってないのに新しい目立ち方をしてきてる(笑)」

BAN「振付けもおもしろいよね」

プー「振りはUFOさんが付けてるんですけど、悩みすぎて眠れない人がテーマなので、激しいところと病んでるところの差もあるし、みんなが均等に出てくるのもこの曲ならではっていう感じがします」

――続いての“豚 HAVE THE POWER”はひときわポップで愛嬌があります。

KIN「カッコ良かったり世界観が強めな曲が多い『RAWPIG』のなかで唯一ってぐらいのハッピーで明るい曲です。聴いた時から、サビでお客さんと一緒に踊ってる姿がイメージできて、歌詞にも料理名がいっぱい入ってて楽しい歌なんですけど、〈いろんなことがあるけど、いっぱい食べて元気出していこうぜ!〉みたいなメッセージ性もある曲なので好きです。落ちサビのところではSHELL・BANと私で騎馬を作って、その上でSU-RINGが歌ったりしてて。ライヴではそこも観どころです(笑)」

――さらに“リバーサイド・モーテル”は妖しいロカビリー風の曲です。

SHELL「これは特に聴かせる/魅せる雰囲気があって好きな曲ですね。いままでの曲だと“PIPEFICTION”とか“Beat Crazy”系に入るんじゃないかなって。歌詞は刺激的なんですけど(笑)、振付けもけっこう綺麗に表現する感じだったりして、他の曲とはまた違うPIGGSを見てもらえる曲です」

BIBI

――次の“スプートニク1号”も儚い雰囲気のある曲ですね。

BAN「歌詞にもあるんですけど、人生っていう長い旅のことを歌っていて。スプートニク1号っていうのはもう壊れて宇宙ゴミになっている人工衛星なんですけど、宇宙ゴミって回収が難しいからずっと漂い続けていて、そのスプートニク1号と人の人生が重なるような感覚もあったりして……そういう曲です。曲をもらって歌詞を見ずに聴いたら、自然に心に入ってきて泣けちゃって。『RAWPIG』の曲って、心の中にあるものを増幅させてくれる曲が多いから歌う時も気持ちが一気にガッて出てくるんですけど。この曲は自分の心の中をそのまんま歌ってるみたいで、他の曲とは違う意味の剥き出しを感じられます。静かめのサウンドだから6人の声もよりクリアに聴こえるし、それぞれの心もよりクリアに聴こえるような気がして。とても大好きな曲です」

――デヴィッド・ボウイの“Heroes”がモチーフなのもRyanさんらしいです。

BIBI「Ryanさんがデヴィッド・ボウイとかスマッシング・パンプキンズとか私が好きそうなアーティストの曲を挙げてくださっていて。Ryanさんの曲めっちゃ好きだなって思ってたら、好きなものがけっこう一緒でした」

プー「好きなものが一緒だから、好きになるのは必然だったのかもね。そういえばRyanも〈デヴィッド・ボウイに全部聴かせても恥ずかしくない曲を作ったアルバムだ〉って言ってました」

――そしてラストは“人間すぎる”です。曲調は違うけど、“飛べない蛇”に近いものもあるディープな一曲です。

SU「落ち着いた曲調かと思いきや、凄く激しい演奏で、ドラムの音とか凄い大きくて、ライヴで踊ってたり歌ってると自分の心が締めつけられるような曲です。自分が人間すぎて嫌な部分って誰にでもあると思ってて、最後にプーちゃんが〈人間すぎるせい?〉って歌った後に入る叫び声に全部の気持ちがこもってる気がしてます。それで最後はキーンって」

プー「ハウリングみたいな音がね」

SU「激しく〈人間すぎる〉のを伝えた後に、その音で終わっていくのが好きで。凄い好きな曲です」

プー「すっきりしないで終わるのがいいし、音の切れ方もすっきりしないのがメッセージ性が強いなって思います」

――はい。で、その素晴らしいアルバムを発表した後の10月29日には〈SUCK OF FULL MONTY TOUR〉のファイナルがZepp Hanedaで開催されます。そこを過ぎたらもう年末ですね。

プー「Zepp Hanedaは焦ってた時期に押さえた会場なので、そこは私がキャパを見誤ったんですけど(笑)、やっぱり〈全身全霊〉を掲げてやってるグループなんで、そこに立ち向かっていくのがいいんじゃないかって。後から振り返った時に、もし埋められなくても本気で悔しがれるならいいし、みんなで最高のライヴをすれば別に問題なくて、とにかくその日を最高な日にすることしか考えてないです」

KIN「うん。SUとBIBIっていう新しい風も入って、すっごくカッコ良いアルバムもリリースされるので、みんなもそうだと思うけど、個人的に凄くワクワクしてて。ここから〈PIGGS気になる〉って来てくれた人が〈PIGGS最高!〉ってなっていく予感が凄くするので、私たちもそう思ってもらえるようなライヴをして、みんなをもっとワクワクさせたいです」

プー「キャパも声出しも元の状況に戻ったので、3年前にPIGGSを始めた時にやりたかったことを改めてイチから始めようって考えてて。だから、これからは先を見据えた展開っていうよりかは、いまを楽しんで重ねていって、みんなで〈PIGGSやばいよ〉〈楽しいよ〉ってザワザワさせながら仲間をどんどん増やしていこうっていう動きを意識して……意識っていうか計画はしています。だから、悲しい思いはさせないし、むしろ〈楽しい!〉〈やべえ!〉ってなる機会をたくさん作っていきたいです」

PIGGSのアルバム。
左から、2020年作『HALLO PIGGS』、2021年の『JUICYY』(共にプープーランド)

Ryan.BことBRIAN SHINSEKAIが所属するLafuzinの2022年作『ラブエナジーモチベーション』(DOBEATU)