〈NO MUSIC, NO LIFE.〉ポスターの撮影レポート!
今回NMNL企画に登場するのは、なんと、『A Rainbow In Curved Air』『In C』などの代表作で知られる巨匠テリー・ライリーさん。「風の谷のナウシカ」のサントラなどで知られる久石譲さんに大きな影響を与えたり、ザ・フーの人気曲“Baba O’Riley”の由来だったりもするアメリカの作曲家です。
ジャズスタンダードとオリジナル楽曲で構成されたニューアルバム『Terry Riley STANDARDⓈAND -Kobuchizawa Sessions #1-』がタワーレコードより発売されるというご縁を頂きご出演となりました。
新作のレコーディングも行われたスタジオでの撮影の様子は……。

ということで、今回はテリーさんが現在在住の山梨県小淵沢へ8時発のあずさで出張撮影。
〈8時ちょうどの~あずさ2号で~〉という歌がありましたが……。
余談ですが、〈あずさ2号〉は1978年のダイヤ改正で偶数が上り電車の号数に変更、2020年のダイヤ改正で現在は運転が終了しています。

小淵沢は長野県との県境で八ヶ岳高原南麗の町。近くには有名なウイスキーの蒸留所やリゾート地も。天気が良ければ街からは南アルプスや富士山なども良く見えるそうです。環境の良さから、最近ではミュージシャンで移住される方も多いとか。

今回の撮影場所は、歯科診療所(?)。いえ、実は、診療施設の奥が3階建てのスタジオになっております。ジム・オルークさん、石橋英子さんなど多くのアーティストもレコーディングで使用しており、世界中で大絶賛されている映画「ドライブ・マイ・カー」のサウンドトラックもここで生まれたそうです。
1階はキッチン・ダイニング、ちょっとしたリハーサルなどもできるスペースです。
2階がブースや機材が並ぶレコーディング・スタジオ。
3階はアルプスの少女ハイジの部屋のような、南アルプスが一望できる屋根裏部屋となっております。
スタジオの目の前に広がる牧草地ものどかですね。

実は、今回撮影から送迎まで(恐縮です)お手伝いいただいたテリーさんのお弟子さん・宮本沙羅さんのご実家が運営するスタジオとのこと。宮本さんの旦那さん・宮本端さんは、もともと東京で音楽関係のお仕事をされており、今回のアルバムのプロデューサー。
実はこのお2人はテリーさんが現在日本在住であるキッカケを作った重要人物。2020年、コロナ禍直前に仕事で来日していたテリーさんが、コロナで帰国できなくなった際にお世話したことがきっかけで今に至るとのこと。

こちらは2階に置いてあるグランドピアノですが、鍵盤が象牙製という貴重なもの。
今回のテリーさんのレコーディングでも使用されました。

スタジオなど拝見していると……巨匠テリー・ライリーさんが到着。
横尾忠則さん、久石譲さんからジム・ジャームッシュまでが大ファンを公言しているミュージシャンということで緊張しましたが、実際にお会いしてみるととっても優しい人でした。
今回のリリースを担当したタワレコスタッフのお土産のチーズとワインを見て、さらに顔が綻ぶテリーさん。なんでも事前にお好きなものをチェックして用意したとのことで……グッジョブ(笑)。

早速企画の説明。タワレコのフリーマガジン「intoxicate」を見るテリーさん。ご覧になっているのは、原田郁子さんと谷川俊太郎さんの広告ページ。今回、ミュージシャンとしてはテリーさんが最高齢(88歳)の出演者となりました。ちなみに原田郁子さんもこのスタジオにゆかりのあるミュージシャンの一人とのことです。

今回、撮影はフォトグラファーの三浦麻旅子さん。昨年のビルボード東京でのライブなど、テリーさんとは何度か撮影でご一緒されているということで、コミュニケーションも良く進んでいきます。撮影途中にはテリーさんがピアノを演奏するという嬉しいアクシデントも。
ちなみに、テリーさんが着用している三日月の法被は最近のお気に入りだとか。デザイナーの方は京都の方だったのですが、最近なんと!!偶然近所に移住してきたそうです。

続けて、テラスに移動して撮影。
楽器が近くにないと少し手持無沙汰そうなテリーさん。 お弟子さんの宮本沙羅さんが、カメラマンのディレクションを通訳してくれています。

天気が良ければ背景に南アルプスも望めるとのことでしたが、残念ながら当日は曇り空……。

こちらで撮影したテリーさんお気に入りの一枚。
最後までポスターの写真候補でしたが、今回はCDの特典のステッカーと10月25日発行の「bounce」のNMNL用に使用されました。

最後はご協力いただいた皆さんで記念撮影。
一番左は、沙羅さんのお父さん(通称カフカさん)。こちらの歯科診療所の主でスタジオのオーナー。
実はこの方は、ロックバンドMooolsでチェロとキーボードを担当する現役のミュージシャンでもあります。スタジオの壁には、古いバイオリンベースをご自身で改造したというエレクトリックチェロもディスプレイされていました。

写真チェック。テリーさん「笑いすぎた」と若干反省しつつも、最後は「ハッピーなことが一番大切」と、笑顔の写真をセレクトし、今回のポスターが完成となりました。

 


RELEASE INFORMATION

TERRY RILEY 『Terry Riley STANDARDⓈAND -Kobuchizawa Sessions #1-』 STAR/RAINBOW RECORDS 星と虹レコード(2023)

リリース日:2023年10月4日(水)
品番:SHIGERU-001
フォーマット:CD
CD購入者共通特典:初回プレス盤限定 封入特典ステッカー(5cm正方形角)
タワーレコード購入者オリジナル特典:非売品ポストカード特典
価格:3,000円(税込)
全10曲/インストゥルメンタル音源収録
※デジタルリリースの予定は現時点では未定となっております

TRACKLIST
1. Isn’t It Romantic? ※カバー曲(オリジナル:Lorenz Hart/Richard Rodgers)
2. Blue Room ※カバー曲(オリジナル:Lorenz Hart/Richard Rodgers)
3. The Best Thing for You (Would Be Me) ※カバー曲(オリジナル:Irving Berlin)
4. ’Round Midnight ※カバー曲(オリジナル:Bernard D. Hanighen, Thelonious S. Monk & Charles Cootie Williams)
5. Ballade for Sara & Tadashi (Piano) ※オリジナル曲
6. Pasha Rag ※オリジナル曲
7. Ballade for Sara & Tadashi (Synth) ※オリジナル曲
8. Yesterdays ※カバー曲(オリジナル:Jerome Kern/Otto Harbach)
9. It Could Happen To You ※カバー曲(オリジナル:Jimmy Van Heusen/Johnny Burke)
10. Gotcha Wakatcha ※インプロビゼーション・オリジナル曲

録音:2020年3月11日〜13日
マスタリング:2023年

ジャズスタンダードとオリジナル楽曲で構成され、緻密かつ繊細なピアノとサイケなシンセサイザーの幅広いサウンドで彩られた本作は、〈即興演奏家〉としての彼の本質を鮮明に記録した名盤。全10曲のうち、6曲がカバー曲、4曲がオリジナル曲。