コラム

三宅純 『Lost Memory Theatre -act-2-』

〈喪失〉を再生するプレイヤー その第2幕

 三宅純ほどカテゴライズの難しい作曲家は居ないであろう。日野皓正に見出されジャズトランペッターとして活動を始めるが、その後ジャズは彼の音楽のパレットの1部という存在になる。様々な民族音楽~クラシックの伝統美~エレクトロニカ以降の音へのフェティシズムをも持ち合わせた希有な美的感覚の持ち主で、これまでに映画、アニメコンテンポラリーダンス等、多くの作品とのコラボレーションを重ねて来た。近年では、ヴィム・ヴェンダースの映画『ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』への楽曲提供でも知られる。CM王の異名もある三宅はこれまでに3000を超えるCM音楽を手掛け、日常的に知らず知らずの内に触れる者を無自覚に音の世界旅行に連れ出してもいる。

三宅純 Lost Memory Theatre -act-2- P-VINE(2014)

 自身ライフワークとも語り、三宅の作品の中でも重要な位置づけをされている『Lost Memory Theatre』の続編がこの度リリースされる。前作ではデヴィッド・バーンアート・リンゼイおおたか静流といった、ジャンルを超えた豪華ゲストを迎え「耳で聴く映画」「目で見る音楽」とも評される、正に唯一無二の音楽で世界的に高い評価を得た。今回の続編でもリサ・パピノーをはじめ、ヴィニシウス・カントゥアーリアメルヴィン・ギブス他、超豪華共演者が名を連ねている。ヴィム・ヴェンダースが前作のライナーに於いて、音楽と心象風景の間で「第三の生命」を絶え間なく生み続けると評していたが、今回の続編でも体験した事がある様で無い、夢と記憶を司り、デジャヴ体験を引き起こさせる様な、形象を持たない音楽にしか成し得ない表現、可能性を強く感じさせてくれる。

【参考音源】三宅純の2013年作『Lost Memory Theatre -act-1-』収録曲“Assimetrica”

 

 今作でもジャン=ポール・グードがアートワークを担当しているが、彼の領域を1つにとどめない活動は三宅純と相似形を成す様にも感じる。

 近々の日本での予定としては、7/4から10/5まで東京・21_21 DESIGN SIGHTで開催される企画展「イメージメーカー展」に音楽作品を出展。また本作がリリースされるタイミングと合わせ、白井晁構成・演出により、神奈川芸術劇場、兵庫県立芸術文化センターにてLost Memory Theatreの舞台作品の公演が行われる。