コラム

カントリーの復活はアメリカの保守化? モーガン・ウォーレン、ザック・ブライアンらのヒットと新潮流を柴那典が分析

カントリーの復活はアメリカの保守化? モーガン・ウォーレン、ザック・ブライアンらのヒットと新潮流を柴那典が分析

2023年のアメリカの音楽シーンを追っていた者は、〈カントリー〉がキーワードのひとつだったと口を揃えて言う。カントリーアーティストが複数ブレイクを果たし、ヒット曲、ヒットアルバムが多数生まれたからだ。では昨年、カントリーシーンにいったい何が起こっていたのか? そして2024年の今、何が起こっているのか? カントリーにハマっていたという音楽ジャーナリストの柴那典が振り返って分析、新たに台頭したアーティストも紹介する。 *Mikiki編集部


 

米国の保守反動? カントリーの躍進と奥深さ

今のアメリカの音楽シーンを語る上で欠かせないのは、カントリーミュージックの躍進だ。特に昨年は多くのヒットが生まれた。全米アルバムチャート12週連続1位という異例のロングヒットになったモーガン・ウォーレンの『One Thing At A Time』を筆頭に、ザック・ブライアンの『Zach Bryan』が全米アルバムチャート1位、ルーク・コムズの『Gettin’ Old』も4位。シングルチャートを見ても、通算16週1位とモンスターヒットになったモーガン・ウォーレンの“Last Night”を筆頭に、ルーク・コムズの“Fast Car”、ワシントンD.C.の政治家を批判した歌詞が右派から支持を受け無名な状態から一躍バイラルしたオリヴァー・アンソニー・ミュージックの“Rich Men North Of Richmond”など数々のナンバーワンヒットも生まれた。

MORGAN WALLEN 『One Thing At A Time』 Big Loud/Mercury/Republic(2023)

ZACH BRYAN 『Zach Bryan』 Belting Bronco/Warner(2023)

LUKE COMBS 『Gettin’ Old』 River House/Columbia(2023)

個人的にも2023年下半期はすっかりカントリーにハマってしまった時期だった。なぜこんなにもカントリーが人気なのか? 何が起こっているのか? 何が受け入れられているのか? それを知りたくてカントリー系のプレイリストを聴き漁ったり、テネシー州ナッシュビルから発信されているApple Musicのカントリー専門ラジオばっかり熱病のように聴いてる2、3ヶ月があった。

結果として何がわかったのか?と言われると、正直、何もわからない。〈アメリカが内向きになった象徴〉とか〈保守反動〉とか、わかったようなことは言えるが、それが何かを意味しているとも思えない。カントリーの世界は広くて奥深い。