東洋のエクスペリエンス。サイケ・チル・トリオ:クルアンビンの4年振りとなる完全新作な2024年作。活動域やコラボ作や参加作など評価と共に巨大化した自身達を俯瞰し〈帰郷〉を必要とし、家族としての3人、バンドのみで制作した4枚目。家族というテーマも存在する極めてパーソナルで四畳半な録音物。実に良い。以外にもバンド史上初のゲスト無し作品。ジャケットの視覚的には窓が家族の集うリヴィング・ルームの焦点となり開閉による世界をなす。裸のクルアンビンによる最新ルックで普段の緩急アプローチも堪能できる名盤。ええやんええやん。

 


4年ぶりのニュー・アルバム!と言われてもそんな気がしないのは当然で、ここ数年はリオン・ブリッジズやヴィユー・ファルカトゥーレとのコラボ作が出たり、昨年は年間を通じて5枚のライヴ連作を発表したりしていたクルアンビン。ただ、そのように世界を跨いで人気者となり、バンドが巨大化していくことへの危機感自体が新作へ向かうモチベーションとなったようで、このたび完成した通算4作目のオリジナル・アルバム『A LA SALA』は、改めて〈家族〉としての3人組に戻るべく、地元のテキサスにてバンドだけで録音されている。

レコーディングはエンジニアを務めたスティーヴ・クリステンセンのターミナルCで行われ、かつてバンドが始まった頃のようなフィーリングを意識して進められたそうだ。初めてウィル・ヴァン・ホーンのペダル・スティールもフィーチャーせず、ゲストの演奏もなし。部屋から窓の外を見るジャケが示唆的なように、濃密な『A LA SALA』を仕上げたことで、3人はふたたび外へ向かうことができるのだろう。