夜中にリラックスしながら聴くのにオススメ! クルアンビンの地元愛が滲出したコンピレーション

 ソウルやダブやエチオピア音楽などを混合したサウンドを武器に、今年6月に『モルデカイ』をリリースしたばかりの3人組・クルアンビン。テキサス州ヒューストンを拠点にする彼らがこの度、アーティストが選曲するダウンテンポのコンピレーション『Late Night Tales』(以下LNT)の監修を手掛けた。LNTはタイトルの通り〈夜中にリラックスした気分で聴く〉選曲のシリーズで、01年に始まって以降、アークティック・モンキーズやザ・シネマティック・オーケストラらが監修してきた。

VARIOUS ARTISTS 『Late Night Tales: Khruangbin』 Late Night Tales/BEAT(2020)

 カルロス・サンタナ&アリス・コルトレーンのファンキーなビートで幕を開ける本作、ディスコをベースにしたアレンジが魅力のパキスタンのナジア・ハッサン、ソウルフルな演奏が小気味良いエチオピアのロハ・バンド、東京滞在中にメンバーが耳にしたという柳ジョージ+Nadjaバンドの“祭ばやしが聞こえる”のテーマなど、多種多様、雑多で乱脈、多国籍であり無国籍でもあるサウンドが詰め込まれている。

 クルアンビンはクール&ザ・ギャングのカヴァー曲“サマー・マッドネス”も披露。更には、テキサスのバーでエリック・サティをバンジョーでカヴァーしていたというジェフリー・ミュラーが、同じくテキサスのティアニー・マローンのスポークン・ワードと融和する“Transmission for Jehn: Gnossienne No 1”も水際立っている。

 かつてクルアンビン自体がボノボによるLNTで知名度を上げたという経緯もあったからだろうか、まだ無名のミュージシャンの曲が数多く含まれている。その中でも特に、テキサス州やヒューストンのミュージシャンをフックアップしようという狙いがあったと見える。クルアンビンの2作目をミックスしたブリリアンテス・デル・ヴエロ、ヒューストンの技巧派ギタリストであるケリー・ドイルらの曲も含まれている。クルアンビンがLNTで成し遂げたのは、辺境とも呼ばれる地も含め世界中から集めてきた果実を、地元で熟成させるようなプロセスだったのだろう。