楽曲ごとの存在感
ソリッドなバンド・サウンドで疾走する“ざわめき”を挿み、続いてはナカヤマアキラ(ギター)と佐藤ケンケン(ドラムス)の楽曲が交互に登場。ユニゾンのコーラスが瑞々しいギター・ロック“no rest for the wicked”、アコギ使いのグルーヴィーなミディアム“ゆうえん”、エキセントリック&パンキッシュに激走する“シカバネーゼ”、生々しくも儚いメランコリーを吐露する“宵闇”と、両極の曲想で存在感を示している。
「“ざわめき”みたいなベクトルがおもしろかったから、30周年のライヴでもそういう方向の曲をやりたいなと思って“no rest for the wicked”を出して。でも、バンドとして初めての取り組みって感覚でもなかったから〈何でだろう〉って思ったら、最初期の頃――“サイコガーデン”(95年)でやってたんですね。この間の仙台のライヴで気付きました。“シカバネーゼ”もライヴで活きる曲っていうのを想定して書いたかな。歌詞はどちらも想像の話です。“シカバネーゼ”なんて、現実だったらたまったもんじゃない(笑)。なんか、古典的な童話がけっこう好きなんですよ。現代に普及してるものはマイルドに書き直されてますけど、第一稿とかは悲惨だったり救われなかったりで。そういうのがルーツなんですかね、かっこよく言えば(笑)」(ナカヤマ)。
「リフで押すような速い曲はギタリストが作ったほうがかっこ良くなるだろうなって思うから、それでミディアムの曲が増えちゃうのかもしれないです。まずはリズムパターンとBPM、あとは明るい/暗い/悲しい/ハッピーとかそういう方向性を決めて、そこから自分以外の三人が作らなそうな曲、でもこの四人が演奏してる場面を想像できる曲、ってところで作ってますね。俺からするとすごいイメージに近い仕上がりになりましたけど、三人はアレンジするとき大変だっただろうなと思います(笑)」(佐藤)。
そして、長谷川が単独で書き下ろしたもう1曲は“Invisible letter”。ポップに弾けるメロディアスなギター・ロックで、青い昂揚感に満ちた詞世界がどこまでも眩しい。
「実は“痣花”と同時期に作った曲で、こっちがシングルでもいいのかなって最初は思ってたんですよ。でも、コロナ禍を経て久しぶりに新曲を出すのであれば、重みのある“痣花”じゃないかと。こっちはアッパーで明るい〈プラの王道のギター・ロック〉みたいなイメージで作った曲で、歌詞も〈青春〉みたいなものをテーマにしてます」(長谷川)。