INTERVIEW

Plastic Tree“潜像” 写真越しに見るエッジーなセンチメンタリズム。フリーな環境で制作された久々の新作が到着

Plastic Tree“潜像” 写真越しに見るエッジーなセンチメンタリズム。フリーな環境で制作された久々の新作が到着

フリーな環境で制作された久しぶりの新作は、詞も曲もこのバンドのひとつの〈らしさ〉が全開に。写真越しに見るパワフルなセンチメンタリズムに翻弄されて……

 「曲に新しい存在価値が生まれるっていうか。こういう表現をしてもすごくカッコイイんだなって発見があって、嬉しかったですね」――7月に開催した東京ニューシティ管弦楽団とのシンフォニック・ライヴについてこんなふうに振り返るのは、Plastic Treeのフロントマンである有村竜太朗。フル・オーケストラとの共演によってプラの楽曲群が優美な情緒と爆発的なエモーションを得た同ステージは本当に素晴らしいものだったが、結成から25年を越えてもなお新たなチャレンジを継続中の彼らが、オリジナル作品としては1年以上空けてのニュー・シングル“潜像”をリリースする。作詞を有村が、作曲をベースの長谷川正が担ったこの曲は、ツイン・ギターがパワフルに疾走するバンド・サウンドの狭間から狂おしいセンチメンタリズムがこぼれ落ちる、〈らしさ〉が全開のナンバーだ。

Plastic Tree 潜像 ビクター(2019)

 「前回の“インサイドアウト”から考えると期間的に空いてるのもあったし、そのときは〈Collar×Malice〉っていうゲームとのコラボ曲というのもあったので、自分たちのアイデアだけでフリーに作品を作るっていうのは久しぶりだったんですよね。でも、そこは難しく考えすぎずに、ちゃんといまのプラの代表曲になれるような、そういう持ち味の曲っていうイメージで作りました。アレンジもほぼデモの段階からブレてなくて、そこにメンバーそれぞれからアイデアをもらって完成させた感じです。間奏のあとの展開とかは、そういうセクションがあってもいいかなって話になって、ちょっと付け足して考えたり」(長谷川)。

 「曲のイメージから、間奏のところに声のコラージュみたいなのがあったらおもしろそうですよね、って話をエンジニアさんとしてて、好奇心で入れたりもしてますね」(有村)。

 そんなサウンドに対しての歌詞には、MVやヴィジュアルなどからも伝わるように〈写真〉をモチーフにしたメランコリーを投影。その制作には予想以上の時間がかかってしまったという。

 「うちのバンドもいろんな側面があると思うんですけど、この曲は結構ストレートで、そこがいいところだったので、これまでに何回も使ってきた〈写真〉っていうモチーフが似合うなって。で、もともとバンドがよく使ってきたモチーフだからこそ、その色をこれまで以上に濃く出したいなっていうか、そうすれば、バンドのストレートな方向性の代表曲になってくれるんじゃないかなと思ったんです。今回は、その〈色濃く出す〉っていうところで自分が思っていた以上に時間がかかったなっていうのはありますね。言葉がたくさん出てきてまとめきれないっていうのもあったんですけど。ただ、そういうわけで馬鹿丁寧に作れたので、結果的には良かったなって」(有村)。

 また、カップリングには作詞をナカヤマアキラ(ギター)が、作曲を佐藤ケンケン(ドラムス)が手掛けた“IC”を収録。こちらは一聴すると瑞々しい青さを讃えた切ないギター・ロックだが、詞世界はどこかサイコ・ホラー的な雰囲気。〈君〉と〈僕〉の関係性によって空恐ろしさが増す、絶対にしたくないドライヴ・ソング(?)だ。ナカヤマはこういう類の歌詞が実に上手い。

 「これは、皆さんに想像を膨らませていただくしかないですね。僕たちも説明は受けてないので、すべてが謎に包まれてる(笑)」(長谷川)。

 「ナカちゃんの場合、触れちゃいけない世界な気がするから、内容については特に訊かないですね。歌ってみて、言葉や歌い回しについて自分が気付いたところは言いますけど。すると、そう思ったんなら変えていいよってときもあるし、いや、これはこのままで、ってときもあって。今回に関しては、何も提案してないです。ただ、録ったあとに、歌ったまんまの分離のいい音でポンと出すよりも、ちょっと演出的なことをしたほうがいいかなと思って、エフェクトをかけたりとかはしましたね。エンジニアさんとああじゃない、こうじゃないってやってたら、ナカちゃんが〈このエフェクターはどう?〉って提案してくれて、それがすごく良くて曲とメロディーと歌詞が合致したみたいな感じになって。カップリングってそんなふうに詰め切らない形で進めていくので、良く言えば遊び心が出るというか、即興主義というか(笑)。逆にレコーディング前はナカちゃんとケンちゃんで綿密に作ってたと思うんですけど、それでも最後にこういうことをしてもいい余地があるんです」(有村)。

 そんな“潜像”“IC”を送り出した後にはツアーも開催。もちろん、この2曲も間違いなく披露されるだろう。

 「ライヴ映えのする曲たちですよね。ツアーのなかでどう育っていくのか、いまから楽しみです」(長谷川)。

Plastic Treeの近作。

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