Last Party Never End
前代未聞の歴史を残して東京ドームで解散したBAD HOPから、オールタイムな名曲群が厳選された初のベスト・アルバムが到着! 音と言葉に刻まれた10年の歴史を永遠に楽しもう!

 今年の2月19日、およそ5万人を動員した東京ドーム公演をもって解散したBAD HOPから、アンコールのような形で最後の置き土産が届いた。彼らにとって初のベスト・アルバム『BAD HOP FOREVER (ALL TIME BEST)』は、始動から10年の太いキャリアを集大成し、その足取りを改めて追体験させてくれるものとなる。

 もともと神奈川は川崎で2014年に結成されたBAD HOPは、双子の兄弟であるT-PablowとYZERRを中心に、Tiji Jojo、Benjazzy、Yellow Pato、Bark、G-K.I.D、Vingoという8名のラッパーが集まったクルー。かつてはどうしてもT-PablowとYZERRの知名度もあり、「高校生RAP選手権」や「フリースタイルダンジョン」の文脈で注目されてしまう印象もあったが、初の全国流通アルバム『Mobb Life』(2017年)を出したあたりから独自性やアティテュードが知られるようになって評価軸も大きく変わり、各々の個性も広まっていったように思う。ただ、少し残念だったのは、作品が配信メインのため一般流通のフィジカル作品がほぼなかったことで、残るべき記憶と記録が残るべきだと思えば今回のベストは思わぬ嬉しい贈り物となるだろう。

 内容は2CD+DVDの構成で、音源の選曲をメンバー自身が熟考したという全32曲を収録。基本は『Mobb Life』以降から最終作『BAD HOP』(2024年)の楽曲で固められ、初期の人気曲“Ocean View”(2017年)や問答無用の代名詞的な“Kawasaki Drift”(2018年)、“High Land”(2020年)、“Champion Road”(2023年)のような定番チューンが詰まっている。C.O.S.A.とIOを迎えた“4L”やA-Thugも登場する“KAWASAKI SONG”、さらにマスタードやマーダー・ビーツら海外勢と組んだ『Lift Off』(2019年)からの曲など目白押しだ。

 また、DVDのほうには全21曲のMV集や特別ライヴ映像が収録されているのも嬉しい限りだ。本人たちが有終の美を飾った現在だからこそ、改めてBAD HOPの真髄を味わってみてほしい。