King Gnuでの精力的な活動も続けている常田大希。彼が率いるMILLENNIUM PARADEが、グローバル市場に進出したことが話題だ。J-POPと世界の音楽シーンとの接点が増えつつある今、イメージの刷新と改名を経てMILLENNIUM PARADEから届けられた最初のシングル“GOLDENWEEK”は、これまでにないサウンドを展開した音楽性が大きな注目を集めている。ミュージックビデオも公開されたこの曲について、ライターの蜂須賀ちなみが綴った。 *Mikiki編集部
潜伏期間から第二形態への脱皮
MILLENNIUM PARADEがアメリカのエピックUS、欧州のRCA UKと契約したことを5月3日に発表した。この発表は〈今後は世界を標的に〉といったマインドの変化を示すものではない。MILLENNIUM PARADEは当初よりグローバル展開を視野に入れていたプロジェクトであり、英米大手2レーベルとの契約締結によって、国際的な認知のための強固な基盤、実務的な足がかりを得たということだ。
そもそも主宰の常田大希は、1stアルバム『THE MILLENNIUM PARADE』を発表し、ツアーをまわり、メインテーマを担当した細田守監督のアニメ映画「竜とそばかすの姫」が公開され、millennium parade × Belle(中村佳穂)として「第72回NHK紅白歌合戦」に出演した2021年を一つの区切りとして、〈第二形態〉に向けた〈潜伏期間〉に入ると明言していた。
それ以降は、2022年の“Secret Ceremony”“No Time to Cast Anchor”、椎名林檎とのコラボレーションによる2023年の“W●RK”“2〇45”という4曲のリリースがあったものの、ライブやメディア出演などはなし。新たな動きがあったのは今年4月下旬で、〈ストリーミング上でアーティスト名の表記が「ꉈꀧ꒒꒒ꁄꍈꍈꀧ꒦ꉈ ꉣꅔꎡꅔꁕꁄ」に変更されている〉〈SNSの投稿が全て削除されている〉〈アートワークやMVサムネイルなどのビジュアルが、色褪せ紙割れしているような質感のものに差し替えられている〉といった変化に気づいたファンをきっかけに、〈近々何かが起こるのでは?〉という空気が広がった(カルチャーやムーブメントと大衆のざわつき、熱狂は切り離せないと考える彼ららしいやり方だ)。
そして5月3日の発表に至る。なお、このタイミングで小文字の〈millennium parade〉から大文字の〈MILLENNIUM PARADE〉へ、名前も新たなものに変更された。過去作が〈ꉈꀧ꒒꒒ꁄꍈꍈꀧ꒦ꉈ ꉣꅔꎡꅔꁕꁄ〉という別の箱に格納されたのも含めて、生き物の脱皮――剥がれ落ちた外皮と成長を続ける現在の身体が別物になったようなイメージがわく。まさに潜伏期間が明け、第二形態へのトランスフォームが成されたのだろうと。