Mikiki編集部員とTOWER DOORS担当・小峯崇嗣が最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。今回は第93回です。紹介した楽曲はSpotifyのプレイリストにもまとめているので、併せてお楽しみください。 *Mikiki編集部

★〈Mikikiの歌謡日!〉記事一覧

Spotifyプレイリスト

 


【鈴木英之介】

YeYe × 川辺素(ミツメ)“No Longer”

多彩なアプローチで華やかなポップスを聴かせた昨年作『30』も記憶に新しいシンガー・ソングライターのYeYeが、ミツメのヴォーカル/ギターの川辺素をゲストに招いた、フォーク・ロック調の新曲。ウィルコの『Ode To Joy』やアンディ・シャウフの『The Neon Skyline』、岡田拓郎の『Morning Sun』などを彷彿させる、〈デッドで音の鳴りが近い〉ミックスがとにかく素晴らしい。そんなミキシングによってくっきりと記録されたアンサンブルの素晴らしさは言わずもがなだが、そこに乗る切なくも温かい2人の歌声にもしみじみと胸を打たれる。

また昨日1月25日には、ミツメのニュー・アルバム『VI』のリリースも発表された。2021年3月24日(水)にリリースとのことなので、こちらもいまから楽しみだ。

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ハナレグミ “Quiet Light”

1月19日にリリースされた配信シングル。マーヴィン・ゲイやカーティス・メイフィールドといったニュー・ソウルからの影響を感じさせるファンキーかつメロウな曲調・アレンジが、ハナレグミの個性的な歌声と溶け合い、耳に柔らかく迫ってくる。2021年3月31日(水)にはこの曲を含む8枚目のフル・アルバム(タイトル未定)もリリースされるので、いまのうちに是非ご予約を。

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Jay Walker “踊り子 (feat. Saint Vega)”

他アーティストへのトラック提供やプロデュース・ワークを精力的に行う沖縄出身のアーティスト、Jay Walkerが1月20日に満を持してリリースした初ソロEP『NIHIL』からの1曲。ゲストのSaint Vegaの音楽性と地続きであるような、歌ものとラップの中間を行くメランコリックな曲調と浮遊感たっぷりの音像が耳に心地良い。背景にある物語を想像させる、なんとも耽美的なアートワークもいい感じだ。

 

【小峯崇嗣】

Nostola “夏の国”

熊本出身の鶴田虎之介によるソロ・プロジェクト、Nostolaが2020年にBandcampで発表した『夏の国/天国』からご紹介。炭酸水のサイダーが抜けたようなローファイ・テイストのサウンドと、メロウで脱力感のある歌声がクセになります。坂本慎太郎の音楽を想起させつつ、Mac DeMarco以降のインディー・ロックを彼なりに昇華させたサウンドが彼の魅力です。彼にはTOWER DOORSから〈6つの質問〉を投げかけています。こちらもぜひチェックしてみてください。

 

toddy(185) “ワラライフ”

福岡のバンドであるNew Oil Dealsのヴォーカル/ラッパー、toddy(185)のデビュー・シングルをご紹介。同じく福岡出身のビートメイカー、motsによって作り上げられたマッドチェスター感のあるダンサンブルでドープなトラック。そこにtoddyが、ナードっぽいがグルヴィーなフロウを乗せており、愛嬌のあるひねくれたリリックが炸裂しています。聴いていて、とてもハッピーになる曲です。

 

chillbill. “stargaze”

〈夜のネオトーキョーを歩く〉をコンセプトに楽曲を制作するちる井とorocodatによるデュオ、chillbill.が新曲をリリース。靄がかかったような、ぼやっとしたメロウなシンセと、ローファイなスロウテンポのリズムに魅了される一曲です。幻想的で優美な歌声で紡がれる歌詞は、切ない2人の物語を描いています。

 

8mileAliens “Miles”

東京に拠点を置く8人組ヒップホップ・クルー、8mileAliensが1月20日にデビュー・アルバム『Miles』をリリースしました。そのタイトル・トラックをご紹介。マイルドでソウルフルなトラックに、メンバーによるクールなマイク・リレーがクセになる一曲です。

 

【田中亮太】

新しい学校のリーダーズ “NAINAINAI”

新しい学校のリーダーズ × 88ライジング(88rising)! 日本の女の子4人組ダンス・ユニットが、アジア発のサウンドで世界のポップ・シーンを席捲するレーベルからデビューです。その組み合わせだけでワクワクせずにはいられませんが、音楽自体がめちゃくちゃかっこいい。ファットなブレイクビーツが耳を引く飾り気のないトラックに乗せて、いかにも女子学生的なトピックを〈くだらん〉と一蹴するさまに痺れます。K-Popの後追いではない、グローバルなリスナーを魅了できる日本産ポップの最新型、と言っちゃっていいのでは。

 

Nana Yamato “Do You Wanna”

世界が見つめるジャパニーズ・ガール(ウーマン?)、と言えば彼女もそうでしょう。以前はANNAとして活動していたNana Yamato。この曲は、パーケイ・コーツ(Parquet Courts)のアンドリュー・サヴェージが主宰するレーベル、ドル・トゥールズ(Dull Tools)からリリースされるデビュー・アルバム『Before Sunrise』のリード・ソング。世にベッドルーム・ポップは数多くあれど、その気高さにおいて彼女のメランコリアに敵うものはないでしょう。『Before Sunrise』は2月5日(金)にリリース。

 

Barbara “You Only Live Twice”

Seussのメンバーを擁する京都(?)のバンド、Barbaraの最新曲。ゆっくりと歩むかのようなスピード感と人肌の温度感を持つハートウォーミングなインディー・ポップ。ささやかな転調が素晴らしい。あっさりとした終わり方も見事で、だからこそ繰り返し聴きたくなる。何度でも会いたくなる。