
殿方に女の子の現実を突きつけてしまって申し訳ない
――「殿方は黙ってて!」と同じ「関ジャム 完全燃SHOW」(現「EIGHT-JAM」)でのインタビューでの発言で、繰り返しバズる椎名さんの名言としては、「女の子たちの人生のサントラ」というのもありますよね。『放生会』は、それをいちばん体現した作品なのではと思ったんです。
「まさに、みなさまのサントラにノミネートが確定すること請け合いです。
ラジオなどでもおっしゃっていましたが、今作に参加されている方々は椎名さんが昔から一緒にやりたくてしかたがなかったお相手で、虎視眈々と狙っていただけあって、完成度がものすごいんです。OTKとしても、〈尊い!〉〈よかったね~!〉とニコニコしちゃいます(笑)」
――女性ゲストで固めたのは『三毒史』との対比でもあるのですが、女性をエンパワーするフェミニスト的な姿勢も感じました。
「これはもう、女の強さですね。奮い立たせてくれます。
もし万が一、女性に変な理想を抱かれている殿方がいらっしゃったら、ぜひこのアルバムを聴いてください。女はめちゃくちゃ食べるし、五月蠅え!と思っている時もあるし、落ち込む時もありますが、ちょっとしたことで潰されたりなんてしませんから!という姿勢が表現されています。
言い方は悪いですけど、〈で、何か?〉〈あん? 来いよ〉〈なめんなよ〉と言ってくださっているアルバムですので、私は女でよかったなと思います。椎名さんの新作が出るたびにまた一つ幸せになれて、生きていけるんです」
――女性をステレオタイプに理想化せず、その多面性を描いたアルバムだと。
「殿方に現実を突きつけてしまって申し訳ない気持ちはありますが、そのとおりです!とOTKは思っています(笑)。
我々女はかわいいし、強いし、でもぼさっとしている部分もあるし、すごくねちっこくなってしまう部分もあるし……。美しくて強くもあり、小さくて惨めな瞬間もあり。〈女って実は強いんだぞ〉で終わってしまう曲は多いのですが、椎名さんの音楽はちがうんですよね。“ちりぬるを”や“私は猫の目”など、粘度が高くて、ねばっとしてドロッとした、女のうらめしい部分を描いた曲をアルバムの序盤に入れてくれたのがうれしいですね」
椎名林檎が仕事してますよ?
――後半はいかがですか?
「新しい学校のリーダーズとの“ドラ1独走”に関しては、〈これ、これこそが作詞作曲・椎名林檎の仕事なんだよ~~!! ありがとう~~~!!!〉と思っています(笑)。新しい学校のリーダーズが歌っている曲だというのは誰が聴いてもわかりますが、そのように曲を書いて構成したのが椎名林檎であるという部分が、特に聴いていただきたいポイントです。〈みなさま、椎名林檎が仕事してますよ?〉と(笑)。
こんなにギラついた曲を椎名さんのソロ名義で出すのはこの先なさそうだと思っているんですけど、大人の椎名さんと若い新しい学校のみなさまとのコラボだからこそ実現した曲だと思います。〈こんなに水分量が多い曲、かつてあったかしら?〉とも思いましたね。汗とか涙とか、そういう初期衝動をひしと感じますから。アルバムの前半とはまた別の湿度の高さを感じますね。新しい学校が青春日本代表として表現してくださっているので、滾るなと。
歌われているのはSUZUKAさんだけですが、MVでは4人のパフォーマンスがしっかり立っているので、ぜひMVも見てほしいです。椎名さんがイチローの真似をしているところは、“スーパースター”というイチローさんに宛てた事変の曲があるので、OTKは沸いています(笑)。ギターを持ったSUZUKAさんの美しいお姿にも注目です。特に御御足、つま先あたりまでのライン……!」
――一連のMVは、かなりコンセプチュアルな作りですよね。
「MVについて話し出すと長くなってしまいますが(笑)、〈東京都渋谷区南平台の角の整形地二百坪〉(東京事変“一服”の歌詞)にキャバレー〈紅海月〉を開いたらこのような感じになるっていうことは、我々OTKはもう想定できていましたから、あとは実際にお店を開いていただくだけなんですよね。いつでも伺いますから! 貯金は全部払えます!という思いです(笑)。今回、お店の構想をリアルに感じてしまったので、欲しがりすぎてしまうんです」
――アルバムのリリースツアーの演出にも関係してきそうですね。
「〈不惑〉(〈(生)林檎博’18 -不惑の余裕-〉)にもゲストのみなさまがお越しになっていましたからね。きっと今回もどなたか、お呼びになるんじゃないでしょうか? 楽しみですね。
OTKのみなさまは、どちらの公演に行かれるのでしょうか? 私は、ひさしぶりにCDをたくさん買いました。CDにはツアーに応募できるシリアルナンバーが封入されておりまして、申し込み期限が7月16日なので、コラボしたアーティストのファンの方々もぜひご応募いただき、足をお運びいただいて、ともに盛り上がりたいです。CDは、各々の関係各所に布教用としてご利用いただくもよしです。椎名さんのライブはほかでは見られないエンターテインメントだと思いますし、ライブで聴いてこその曲もたくさんあるので!」
――今作は、これも前作との対比で、椎名さんの音楽を聴いて影響を受けてきた下の世代とのコラボが多いのも特徴ですよね。AdoさんやKing Gnuの常田大希さんなど、椎名さんから影響を受けたアーティストが今、第一線で活躍している状況もありますが。
「〈椎名さん以降に出てきたアーティストは、椎名さんのことを意識せざるをえない〉とよく言われますが、その言説に対して椎名さんが自らやってやったぞ!という面が今作にはありますよね」