3人の歌の魅力が詰まった優しいR&B“Rain or Shine”
起伏に富んだ本作を包み込むように締め括る“Rain or Shine”は、ハートウォーミングなソウルナンバーで、“Blow Your Cover”に通じるスロウジャム系。作詞がMila Berry、作編曲がLeo Andersonという点も共通しており、R&B系の曲が得意なコンビなのだろう。“FUJI”でざわついたハートを優しく撫でて鎮めてくれるような、感動的な曲だ。
スロウジャムやクワイエットストーム(優しくメロウなコンテンポラリーR&B系の音楽)の代名詞のような作品としてアイズレー・ブラザーズの“Between The Sheets”(1983年)という官能的な名曲があり、この“Rain or Shine”や“Blow Your Cover”はそれに近いものがある。
そして、ワウギターとエレピのウェットな響きとともに、最大の特徴になっているのは、テナーサックスによるソロを含むホーンの響き。オーガニックで温かいムードを盛り立てる役割を担っている。たとえば、ディアンジェロの名盤『Voodoo』(2000年)の1曲目“Playa Playa”にもロイ・ハーグローヴのトランペットを中心にしたホーンが入っているが、そういうネオソウルの要素も感じさせる曲だ。
音数が少ないこともあって、本作の中で3人のボーカリゼーションの妙味が堪能でき、声の響きをもっとも近くに感じられるのが“Rain or Shine”である。歌を聴かせる曲だと言っていいだろう。ポストコーラスの〈No one knows about us now...〉と繰り返す部分では、3人の歌が左右と中央のチャンネルに割り振られながらも重なっており、ボーカルグループとしてのNumber_iの魅力が存分に表れている。
多彩な曲を同等に歌いこなすNumber_i
シングルの収録曲を3種類に分けると、アグレッシブなラップソング“GOAT”“FUJI”、ノリのいいポップナンバー“Is it me?”“Midnight City”、しっとりとしたスロウジャム“Blow Your Cover”“Rain or Shine”となる。いずれもヒップホップやR&Bを軸にしているが、その中でも振れ幅は広く、類型や定型からはみ出す冒険心を常に燃やしている6曲である。これらを自分たちのものにして同一平面上で歌いこなせてしまうのがNumber_iというグループなのだ、と言わんばかり。
次の記事では、さらなる新展開を見せた次作『No.O -ring-』について書いてみたい。
RELEASE INFORMATION
リリース日:2024年3月6日(水)
配信リンク:https://tobe-music.lnk.to/GOAT_EP
TRACKLIST
1. GOAT
2. Blow Your Cover
3. Is it me?
4. Midnight City
5. FUJI
6. Rain or Shine
