主人公カケルはのび太風、えみるちゃんはしずかちゃん風、複雑なのがデス夫でジャイアン+スネ夫風という描写になっている。ただしカケルは強い。小6ながら将来の夢は日本一のレコード屋さんを開くことというカケルの音楽愛と教養は素晴らしく日々えみるちゃんらにレコードの魅力を布教している。デス夫は音楽に心を奪われ、そしてカケルにも心を奪われている。物語に挿入されている実際に存在する名盤の情報量がたまらなく深く、おおひなたごうという作家のマニアっぷりを物語っている。えみるちゃんを見て少し昔の1990年にルー・リードの来日公演会場で見た〈場違いなワンレン・ボディコン姿の女性観客〉を思い出した。