©Emily Dennison

地元マンチェスターの文化拠点から発信する、ゴーゴー・ペンギンの現在地

 2021年に、オリジナル・メンバーのロブ・ターナーからジョン・スコット(ドラムス)に、メンバー・チェンジをしたゴーゴー・ペンギン。2022年にはXXIMレコーズに移籍し、EP『Between Two Waves』をリリースし、昨年はフル・アルバム『Everything Is Going To Be OK』を発表する。新たなブースターを装着して、さらなる飛翔を開始した。日本でも、今年の1月31日から2月2日には、東京、名古屋、大阪で6年ぶりの単独来日公演を敢行し、新生ゴーゴー・ペンギンの充実ぶりを示した。

GOGO PENGUIN 『From The North - GoGo Penguin Live In Manchester』 XXIM/ソニー(2024)

 ボーナス・トラックを追加して、日本のみCDでリリースされる本作『From The North - Gogo Penguin Live In Manchester』は、彼らの本拠地マンチェスターの、数々のレジェンド・アーティストが出演したローカル・テレビ局のグラナダTVの旧スタジオからの、無観客ライヴ・アルバムである。同テレビ局は、1960年代から名実ともにマンチェスターの一大文化拠点だった。アルバム・タイトルの〈From The North〉はグラナダTV全盛期の、スローガンから拝借した。同所は現在、ヴァーサー・マンチェスター・スタジオとして、音楽、テレビ、映画のスタジオとして、稼働している。ゴーゴー・ペンギンは、2016年にもこのスタジオでライヴ収録を行い、YouTubeで公開している。アルバム『A Humdrum Star』(2018年)も、ここで録音しており、本作は7年ぶりの旧グラナダ・スタジオ再訪である。本作のセット・リストは、XXIMレコーズ移籍後のセレクションが並んだ。アルバム・リリースからのツアーの毎日で、研ぎ澄まされてきたラインナップだ。本作レコーディング時には、ライヴ・ヴィデオも収録され、4月5日からデジタル配信とともに、YouTubeで公開されている。動画を見ると、3人の楽器へのアプローチの詳細が解明できる。メンバー・チェンジを経て、ゴーゴー・ペンギンの到達した現在地を示す、ドキュメンタリー・アルバムである。