
油座友里恵(郡山店)
友人の結婚式で聴いた”いのちの歌”の思い出です。その当時はこの曲を竹内さんの曲だと知らなかったのですが、言葉がするすると心に入ってきました。その子が結婚に至るまでのいろんなことを思いながら、花嫁である友人がドレス姿でこの歌詞を歌っている姿を見ながら恥ずかしいくらい号泣した思い出がある曲です。あとで調べて竹内さんの曲だとわかりましたが、初見の曲でこんなに泣かされるとは。
お美しくて、聡明で、声も素敵で、歌もうまくて……憧れるのすら恐れ多い遠い存在の女性でありながら、曲を聴くとその歌詞の優しさに親近感を感じてしまうことと、同時にこの曲の良さをもっとちゃんとわかるような大人になりたいと思わせてくれるのが竹内さんの作品の魅力です。“純愛ラプソディ”のときめきや、”みんなひとり” (『Denim』に収録)の優しさにたくさん元気をもらっています。
今作『Precious Days』の限定盤にライブ映像が収録されている”人生の扉”(『Denim』に収録)も大好きな曲で、一日一日を大事に生きていかねばと思いますし、小さな幸せを見つける才能をお裾分けしてもらっています。
叶 歩(藤沢オーパ店)
初めて知ったのはカラオケで母が歌った“駅”でした。
子供だった僕にはこれまで聴いたことのない大人の歌詞。ただ内容が好きな人とのものだということはなんとなく分かりました。
歌い終わった後のこれまで見たことのない母の表情、まわりの人の悲しいとも寂しいともまた違う、情緒的で不思議な雰囲気をとてもよく覚えています。
あの頃の母の年齢に近づき、いま“駅”を聴くと幼いころとはまた別の感情が僕に浮かんできます。
きっと年齢を重ねたら、さらに違った感情でこの曲を聴いているのかなあ。と、とても印象深い1曲です。
TANAKAHMANN(新宿店)
『ロフト・セッションズ VOL.1』は1978年のデビュー以前の、アマチュア時代の竹内まりやが聴ける貴重なオムニバスアルバムとして有名だ。時代はフュージョン~クロスオーバーブームの真っただ中で、だいぶ後追いで探して買った個人的にも思い入れの深い一枚。当初はうえむらかをる(KAORU)の夕焼け楽団カバー“星くず”目当てで聴いていたのですが、聴き込むうちに竹内まりやの歌う“ハリウッド・カフェ”や“8分音符の詩”にもハマってしまい、オムニバス作品では珍しくアルバムを通して聴く愛聴盤に。まだ初々しくも大人びた竹内まりやのボーカルの変わらなさ、エバーグリーンな歌声の素晴らしさ、そして現在までまったくブレない真っ直ぐな歌声に聴くたびに感動するのです。
ちなみに本作でまりやのバックを務め、デビューアルバムから現在まで切っても切れない関係のセンチメンタル・シティ・ロマンス、彼らの名曲をカバーした“雨はいつか”も素晴らしいので是非。
青木太一(渋谷店店長)
I’m just playing games I know that’s plastic love
Dance to the plastic beat Another morning comes
中上雅夫(新宿店)
竹内まりやを最初に認識したのはCMヒットによるものだった。“ドリーム・オブ・ユー~レモンライムの青い風”“不思議なピーチパイ”がテレビCMによって刷り込まれ、本人歌唱は「ザ・ベストテン」あたりで見たのではなかったか。その頃の立ち位置としてはアイドル枠という印象だったし、あとから知るが、初期の竹内まりやは自作曲ではなく、作家の曲を歌っていた。ようするにテレビで見るアイドル歌手であった。
時は流れ、90年代に入ってけっこうな数の若者がDJをやり始めた。自分らでDJイベントをするようになるとよく掛けるようになったのが“September”である。同様に初期の曲で、ひじょうにロングセラーとなった曲ということであるが、瞬間的なチャートアクションとしてはお茶の間への浸透度は薄かったと思う。とくにテレビで情報を得ていた僕のような子供には。
90年代のDJイベントはオールジャンルのイベントであっても洋楽が中心であり、和モノを回す人は結構少なかった。ただ、みんな独自に掘っていく中で洋楽と並べても違和感のないものをスパイス的にちょっと入れていくというのがあったと思う。そういう意味ではいわゆる渋谷系の楽曲は混ぜやすかったということもあり、クラブでも浸透していったように思う。“September”はリアルタイムで買ったわけではなく、90年代頭に自分なりに行き着いた曲だった。今でいうフリーソウル的な感覚あるよなぁ、なんて思いながら聴いていた。
現在においては竹内まりやといえばまず“プラスティック・ラブ”であり、シティポップの基本ともいわれるが、“プラスティック・ラブ”は90年代の雰囲気にはフィットしていなかったし、シティポップやAORもごく一部の人が掛けているだけだった。進んでいた片寄明人氏によるセレクトがHi-Fiにあったりして。ということもあり、自分の感覚が遅れていただけなのかもしれないが……。
その頃の雰囲気でほんとうに思い出す竹内まりやの曲は“September”で、改めてクレジットを確認すると作詞:松本隆、作曲:林哲司、プロデュース:牧村憲一、宮田茂樹か、なるほどさすがとしか言いようがない。ライトなソウル感覚がとても好きだ。洋楽と並べて掛けても違和感なく流れを作ることができる。
9月になるとアース・ウインド&ファイアーの“September”を掛ける人がいるが、あれは12月、クリスマスに9月のことを思い出す曲であって、自分にとっては9月になると掛かって、うんうんそうだよね、となるのは竹内まりやの“セプテンバー”ということになる。