無垢な少女のような歌声で「思い出のマーニー」の主題歌にも大抜擢!
プリシラ・アーンのピュア・ヴォイスがこれほど胸に迫る夏はなかったように思う。ジブリ最新作「思い出のマーニー」のラスト、主題歌“Fine On The Outside”が流れ出した途端、映画館に柔らかな風が流れはじめたのを確かに感じた。この上なく爽やかな余韻を残して終わるこの作品に、無垢な少女のような彼女の歌声は確かに大きな役割を担っていた。ジブリ・ファンを公言しているプリシラ。スクリーンから曲が流れてきたとき、どんな気持ちだったのだろうか?
「鑑賞中は作品に没頭していてすでにウルウルきていたのに、自分の曲が流れたときそれはもう……。嘘じゃない! 本当なんだ!って実感が湧いて感動した。あの曲は、21歳のときに10代を思い出しながら書いたもの。あの年頃の私は自分だけがみんなの輪の外にいるような気がしていた。実際は全然そんなことなかったんだけどね。そんななかで孤独を乗り越える強さを探しながら成長していく過程を描いた曲なの」
自分自身にできるだけ忠実で、嘘のない物語を描くことを曲作りの基本にしていると語る彼女。ただ最近は制作方法に少し変化が生じているようだ。
「クリエイティヴな作業に没頭できるひとりの時間がなかなか作れないから、砂漠のなかにあるホテルにこもって曲作りしたり。電話に出ないし、メールチェックも一切しない。そんな環境で作業している影響もあって最近の曲には、ひょっとするとスペースのようなものが生まれているかも。つまり、あまり多くのものをつめこまなくなっているような気がする」
理想とするミュージシャンはと質問すると、ニール・ヤングの名が出てきた。彼の人目を気にしないところが好きだという。アルバムごとに作風が変わるところも魅力的だそうだが、2013年発表のアルバム『This Is Where We Are』においてリスクを恐れず変化を楽しむ姿勢を示した彼女らしい発言だと思う。
爽やかな風を運んでくれた、初フル・ベスト・アルバム『プリシラ・アーン・ベスト』の存在も忘れちゃいけない。とことんポップに弾ける“ベスト・アイ・キャン”などを含む本作があったおかげで、扇風機いらずの日々を過ごした人も多かろう。最後にこれまでのキャリアを振り返ってみて何を感じるか訊いた。
「デビュー作『グッド・デイ』の頃と比べると、自分の声を見つけたと言える。昔よりもさらにインティメイトな歌声になっているんじゃないかと思うの。それにソング・ライティングに関しても、自身の成長と同じく進歩していると思う。若い頃はまだまだ無意識の面が多くあったけど、いまは何が歌いたいのか、何を歌っているのかがはっきりと分かっているから」
LIVE INFORMATION
Priscilla Ahn JAPAN TOUR 2014
2014年12月1日(月)大阪・森ノ宮ピロティホール
開演:19:00
https://kyodo-osaka.co.jp/calendar/E013901-1.html
2014年12月3日(水)東京・めぐろパーシモンホール
開演:19:00
http://www.sunrisetokyo.com/schedule/details.php?id=2514