永遠に変わらない魅力
とはいえ、アバがただ単に懐かしがられている過去の伝説的グループじゃなく、その後の評価によってさらに存在感を大きくしてきたことは知られている通りだ。90年代に入ると彼らの在籍したポーラーがポリグラム資本下に入り、カタログを活かしたベスト盤『ABBA Gold: Greatest Hits』(92年)は全世界トータルで3千万枚ものセールスを記録、新たな世代にもアバ体験を促すことになる。同時期にはイレイジャーのカヴァーEP『ABBA-Esque』が話題となり、スウェーデンからエイス・オブ・ベイスが登場した際にアバが引き合いに出されたり、またはグループ・アイドルのブームの中で男女編成のステップスや、公式カヴァー・グループのA*ティーンズが登場するという周辺の動きもあった。
ベニー&ビヨルンが製作に関わったアバ曲を用いてのミュージカル「マンマ・ミーア!」が初演された90年代末からは公式にレガシーを活用した動きも盛んになっていく。日本ではTVドラマ「ストロベリー・オンザ・ショートケーキ」(2001年)の主題歌に“Chiquitita”と“SOS”が使われるという独自のリヴァイヴァルもあったし、2005年には“Gimme! Gimme! Gimme! (A Man After Midnight)”をサンプリングしたマドンナの“Hung Up”が世界50か国以上でNo.1を記録、2008年には映画版「マンマ・ミーア!」のサントラが全米1位を獲得。そうしたサイクルによって新旧世代のリスナーに浸透したアバだったが、ミュージカルや映画のプレミアなどで顔を揃えながらも、〈絶頂期のイメージのままでいてほしい〉との理由でリユニオンについてはたびたび否定されていた。
そんななかで2018年には活動再開と新曲の制作が発表され、2021年に入って実に40年ぶりのアルバム『Voyage』をリリース。翌年には、2016年からサイモン・フラーとプロジェクトを進めていたアバター(ABBAtars)を用いてのヴァーチャル公演〈ABBA Voyage〉が開始し、ロンドン五輪の会場跡地に建設された常設シアターで公演が行われている。初年の228回から2023年の公演数は374回に増加し、1年で345億円の経済効果をロンドンにもたらしたという報告も話題になったところだ。
メンバーたちのブランドを守る意志は最終的にアバターによる永遠のパフォーマンスを実現させたわけだが、仮にテクノロジーがなかったとしても4人の姿は楽曲の中で永遠に変わらないままだ。名曲が並んだ今回のシングル集はそんなシンプルなことも思い出させてくれる……かもしれない。
左から、79年のウェンブリー・アリーナ公演の模様を収めたアバのライヴ盤『Live At Wembley Arena』(Polar/Universal)、フリーダの82年作『Something’s Going On』、アグネタ・フォルツコグの83年作『Wrap Your Arms Around Me』、ビヨルン&ベニーの70年作『Lycka』(すべてPolar)
左から、エイス・オブ・ベイスの94年作『Happy Nation』(Arista)、ステップスのベスト盤『Platinum Collection』(Sony)、マドンナの2005年作『Confessions On A Dance Floor』(Warner Bros.)
アバのオリジナル・アルバムを紹介。
左から、73年作『Ring Ring』、74年作『Waterloo』、75年作『ABBA』、76年作『Arrival』、77年作『ABBA: The Album』、79年作『Voulez-Vous』、80年作『Super Trouper』、81年作『The Visitors』(すべてPolar/Universal/ユニバーサル)