never young beach(以下ネバヤン)の安部勇麿やグソクムズの楽曲にコーラスで参加するなど、活動の場を広げているシンガー・ソングライター、むらかみなぎさ。2018年から活動を始め、弾き語りのファースト・アルバム『ホームメイド』(2020年)、kiss the gamblerとのコラボ作『楽しいふたり』(2024年)などを発表してきた彼女が、11月27日に“理由はない”、12月25日に“裏庭”を配信リリースしました。2曲は安部勇麿によるプロデュース。レコーディングにはネバヤンの鈴木健人、DYGLの下中洋介&嘉本康平、岡田拓郎も参加しました。

 「高校生のときにギターを始めたんですけど、その頃にネバヤンや柴田聡子さんの曲に出会い、ずっと好きで聴いています。加えて、昔のフォークも自分のルーツで。おじいちゃんが家でよく聴いていて、身体に染み付いたというか、曲を作ったら自然とフォーク的な音楽になりました。私はフォークを生活に根付いている音楽だと捉えていて、自分の曲もそうありたいです」。

むらかみなぎさ 『裏庭』 むらかみなぎさ(2024)

 彼女は活動当初においては保育士、現在はベビーシッターとして働いていて、それを公言しています。

 「音楽と保育――どっちもやりたいことなんです。子どもとの関わりのなかで生まれた曲があったり、 ライヴ中にふと子どものことを思い出したり、並行してやるのが私にとってちょうどいい。しっくりきます。私は子どもをケアする側だけど、子どもにケアされている感覚もあるし、それが音楽にも近いと感じていて。私の出発点は、歌を作り、歌うことで自分をケアすること。その結果、自分の歌が誰かをケアするものになれたら嬉しいです」。

 11月に発表された“理由はない”は、これまでの彼女の作品にはなかった雰囲気のインディー・ロック・ナンバー。安部が加えたコーラスやファズ・ギターがサイケなムードを醸しています。

 「安部さんは〈なぎさちゃんの歌にあるちょっと不穏な部分を活かしたい〉と言ってくれて、そこをフックに変えてくれました。12月に発表した“裏庭”はカントリー調の楽曲で、岡田さんがスティール・ギターを弾いてくれたんですけど、彼がスタジオで弾いた瞬間、全員が〈これだ!〉となりました」。

 多くの音楽家が関わった今回の2曲を通じて、彼女自身も成長を感じたそう。

 「こだわりが強くて、自分の音楽に他者が関わることを警戒していたときもあったんですけど、完全に一人で作った『ホームメイド』を経て、開かれてきました。今回はかなりの進歩です(笑)。でも、周りに関心を向けることは結局、自分に関心を持つことと一緒。外向きになりつつ、より内省的にもなっているという不思議な感覚があります」。

 


むらかみなぎさ:97年に神奈川で生まれ、現在は東京を拠点に活動しているシンガー・ソングライター。2024年11月に“理由はない”、12月に“裏庭”を配信で発表。1st ミニアルバム『理由はない』を2025年2月12日(水)にCDと配信でリリース予定。