福島県いわき発気合い系ぶっ壊しテロリストバンド、と一見オラついたキャッチコピーを掲げている2人組、つきみ。女性のリアルな気持ちを乗せたパンク・ロックが、リスナーからの支持を集めています。バンドが結成されたのは2021年のこと。
「私たちの出会いは地元の教習所(笑)。そのあと私がインスタで〈バンドやりたいんで、誰かドラムしませんかー〉と投稿したら、しゅかがレスをくれて」(ににちゃん)。
「私は吹奏楽部で打楽器をやっていたし、当時は04 Limited Sazabysやtetoのライヴによく行っていたんです。だから、やってみたいなと思いました」(しゅか)。
一方、ににちゃんはバンドの音楽やロックをほぼ聴いておらず、ギターもGコードしか弾けなかったそう。そんな彼女に〈バンドをやりたい〉と思わせたのは一本の映画でした。
「『NANA』って映画を観て、〈バンド、ヤバい〉となったんです。その勢いで投稿しました」(ににちゃん)。
「以前から、にには弾き語りの動画をSNSに上げていたんですよね。それを見て、〈歌声めっちゃいいやん〉と思っていたんです」(しゅか)。
彼女たちの初音源は2022年の8月にリリースされたEP『オトコ一瞬ダチ一生』。同EPは、タワレコ渋谷店の未流通作品を扱う〈タワクル〉コーナーで9週連続の1位を記録しました。
「あのEPには弱い自分も描かれていて、いまじゃ絶対書かないやろうなって面もあります。いまは〈強気で自分本位な女性を歌おう〉って意識が強い。バンド活動中に、女の子たちから辛い目に遭ったという話を聞くことが多くて、そこで感じた〈許さんぞ〉って怒りを曲で燃やしています」(ににちゃん)。
このたび配信リリースされたEP『消えたくなる度君、刻む♡』には、「元カレのことを歌った」(ににちゃん)という甘酸っぱいパンク“ミッドナイトセブンス”、リスナーそれぞれが大切な存在を投影しつつシンガロングできる“消えないで天使”など4曲を収録。ににちゃんの推しは6分近い3連のバラード“微熱”だそう。
「抽象的な歌詞ですけど、自分がバッドに入ったときに聴ける音楽をやっと自分で作れたと思ったんです」(ににちゃん)。
「サッドで重たくて、新鮮さを感じます」(しゅか)。
新しい扉を開いた今回のEPを経て、つきみはどこをめざすのでしょう。
「いまは、とにかくでっかくてジャキジャキした音を出したい。最大の夢はB’zとの対バンなんですけどね」(ににちゃん)。
つきみ:ににちゃん(ギター/ヴォーカル)、しゅか(ドラムス)から成る2人組バンド。2021年に福島で結成。このたびEP『きえたくなる度君、刻む♡』を配信リリースしたばかり。